研究実績の概要 |
付加体に取り込まれたプチスポット火山を確立するために、西南日本中生代付加体の玄武岩調査と、プチスポット火山周囲の現在の海底環境・海洋プレートの調査を行った。
西南日本付加体では、ジュラ紀赤色チャート層に貫入する未分化玄武岩マグマの化学組成が、Hirano and Machida (2022, Comm. Earth Environ.3, 110)で示されたプチスポット玄武岩の微量元素組成の特徴に類似していることが明らかとなった。赤色チャート中の岩脈である事実や、Ar-Ar放射年代値をふまえると、これらは当時の海洋プレート沈み込みに伴うプチスポット火山活動である可能性がきわめて高い(投稿準備中)。また、根室帯に貫入・噴出したショショナイトおよび安山岩においては、プチスポット火山とは明らかに異なるマグマ組成であることが判明したものの、後期白亜紀当時の海底火山活動とその生産場のテクトニックセッティングと海洋性島弧が明らかになった(Yutani, Hirano et al., 2023, Cretaceous Res. 147, 105510)。
マグマ活動に伴う海底表層の地質擾乱の様子(Akizawa, Hirano et al., 2022, Marine Geology 444, 106712)や、プチスポット火山に産する鉄マンガンクラストの化学組成に基づいた最近数百万年間の海底環境変動(Azami, Hirano et al., 2022, Minerals 12, 943)が判明した。南鳥島周辺海域で新たに発見されたプチスポット火山の基盤である西部太平洋プレート最古部についてマントル岩の鉱物学的特徴をはじめて明らかにした(Mikuni, Hirano, Akizawa, 2022, Progress in Earth & Planetary Science 9, 62)。
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