研究課題
火山山頂部および火山島は噴火予測や火山活動そのものの理解において重要な観測域であるにも関わらず、アクセスの困難さおよび安全面から「観測の空白域」であることが多い。特に、ケーブルを展張しての設置が必要となる地球電場は観測が困難となっている。このため、本研究はUAV(ドローン)を用いて電極等の地 表設置を行うことにより電場観測を実現し、これらの難観測域における電気比抵抗構造の解明を可能にすることを目的とする。具体的には、UAV本体に取り付け た電極とUAVに吊したケーブルの先に取り付けた電極を距離を開けて着陸させ、電極間の電位差を測定する。これによって得た電場データと近傍で測定した磁場 データから、Magnetotelluric法を用いて比抵抗構造を得る構想である。2023年度は、小型および大型UAVを用いた飛行試験を、御嶽山山麓部において実施し、電極の投下・設置方法、着陸の際の制御方法などの検証を行った。また、2台のUAVの同時飛行により、UAVで設置した電極の配置状況の確認を別のUAVで実施する試験を行った。さらに、小型の電場(電位差)ロガーの測定試験を実施し、求める帯域で問題なくデータが取得できることを確かめた。全期間を通しては、セキュリティ問題やCOVID19感染症により観測に著しく支障が出たこと、UAV等の価格が高騰したことにより、当初計画していた電場ロガーをUAVに積んでの観測は実現に至らなかった。その一方で、中型UAVによる観測試験によって実際の観測を模した測定試験に成功した。また、ドローンからの簡易的な設置方法によって電位差データが取得できることが確かめられた。このため、大型ドローンの確保ができれば観測は実現できるという段階まで進めることができたと言える。
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