研究課題/領域番号 |
20K04106
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
堀 久美子 神戸大学, システム情報学研究科, 助教 (30636858)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 地球惑星内部物理学 / 磁気流体波 / 地磁気変動 / ダイナモ / 国際研究者交流 |
研究実績の概要 |
地磁気全球モデルにおける非軸対称成分の解析を再考した.軸対称成分に対する成果をもとに,空間二次元の多変数時空間データセットに対する解析へと拡張した.このようなデータセットを想定したハンケル動的モード分解法を実装し,その精度を擬似データで確認した.その後,データ同化に基づく数十年スケールモデル(cov-obs 2019)に適用した.ここで対象としたデータセットは,cov-obs 2019 から算出した地磁気永年変化円柱座標系動径方向成分(dBs/dt)とコア表面流東西方向成分(Uphi)の二変数から成り,この両データにはそれぞれアンサンブル平均を施した.その結果,約 70-140 年の周期帯で,主に西方へ移動するモードを少数,抽出することができた.これらモードは,中緯度帯で節を,経度方向に波数 3-7 程度をもつような波状構造を示すことがわかった.
並行して,前年度まで成果を受けて,他惑星への応用を試みた.木星赤外画像から作成した時空間データセットに対し,軸対称成分についてのハンケル動的モード分解を適用した.その結果,木星深部ねじれアルヴェン波の周期帯に,微小なシグナルが存在することがわかった.そのシグナルの推定精度などを精査し,検出されたシグナルが有意であることを確認した.そのシグナルが示す緯度構造・移動速度が,理論的に期待されるねじれアルヴェン波の構造・速度と概ね合致することがわかった.
これらの成果と経過を報告した論文が二編,査読つき国際誌に受理された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
成果・経過を報告するための論文二編の執筆・改訂を,前倒しで行ったため.
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今後の研究の推進方策 |
地磁気全球モデルの非軸対称成分から抽出された西方移動モードの有意性を精査する.その後,これらモードの詳細な解析を行い,その時空間的特徴(周期・減衰率・経度方向波数・動径方向構造)を明らかにする,これを,磁気ロスビー波のノーマルモード理論解によって説明可能か,精査する.説明可能と確認された場合,それを説明する地球コア内トロイダル磁場構造および強度を,推測する.
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次年度使用額が生じた理由 |
現地参加を予定していた国内外学会が不開催,または,延期となったため.次年度に開催される別学会への参加により,使用する計画である.
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