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2020 年度 実施状況報告書

地球内部のグローバル水循環:水の再分配と貯蔵における下部マントルの役割

研究課題

研究課題/領域番号 20K04109
研究機関広島大学

研究代表者

中久喜 伴益  広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 助教 (10263667)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード沈み込み / 水輸送 / 地球深部 / マントル対流
研究実績の概要

本年度得られた研究成果は次のような3つである。1つ目は,円筒座標モデルを用いて2次元マントル対流で3次元球殻マントル対流モデルと同等な温度場が得られるかについて検証を行った。この結果,マントル対流の上面と底面における熱境界層の温度差はほぼ同等なものが得られることが分かった。しかしながら,その温度は僅かに異なり,円筒座標系の方が曲率の影響が大きいにもかかわらず,下面付近の水平速度が曲率により低下しないことが影響していることが明らかとなった。2つ目は円筒モデルと比較するために2次元矩形モデルによる長時間水輸送モデルの開発を行なった。円筒モデルと比較するため,沈み込み速度とマントル体積のスケーリングをおこない,現在のマントルの比に合わせるために,沈み込むプレート速度へのマントルの粘性層構造の影響を調べた。この結果,2次元矩形モデルでは数億年程度の長時間の水輸送計算が行えるようになった。3つ目は現在の沈み込み帯のテクトニクス,特に水が影響している背弧海盆形成のメカニズムについて研究を行なった。この研究の結果,多くの背弧海盆がスラブとマントル遷移層との相互作用を行うときに起こるスラブの後退が原動力となり,形成されていることが分かった。すなわち,背弧海盆を作る原動力が,アセノスフェアへの高温物質の貫入が原因あるとしても,スタグナントスラブ形成と同期させるメカニズムが必要である。これには,脱水の影響などを考えなくてはならないことが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナ感染症対策のため,コード開発に関する情報収集を行うための出張ができなかったことにより,円筒座標系を用いた水輸送と沈み込み実現のためのサブモデル用コードの開発が遅れている。また,大学業務に置いて,オンライン対応のため時間が大幅に取られたため,研究時間を思うように取れなかったことが原因である。このため,後から行う予定であった2次元矩形モデルの開発を先に行なった。

今後の研究の推進方策

前項の理由により,遅れている当初の計画にあった円筒座標系による水輸送モデルを完成させるため,円筒座標用の水輸送・沈み込みサブモデルの開発に注力する。このモデルでは,粒子法や脱水は座標変換をした位相空間の中で計算するようにして,直交座標系のアルゴリズムがそのまま利用できるようにする。現在,このコードは古いFortranコードで書かれているので円筒座標系コードに合わせたコーディングに変換する。同時に円筒座標と位相空間の間の変換を行うコードを開発する。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナ感染症対策で出張が憚られたことと,および学生との接触時間が少なくなって計算や可視化などの研究補助のための経費が使用できなかったことが原因である。
翌年度分として繰越した経費は,元の経費で導入予定だった計算結果の保存のためのストレージ装置の増強およびサーバーのメンテナンス用消耗品などの購入にに当てる予定である。元の経費の分は当初の計画通りの物品および旅費に加えて,昨年度の成果を論文として出版するための英文校正費および投稿料として使用する予定である。コロナ感染症の状況によっては,旅費の使用を取りやめ,ストレージ装置のさらなる増強に使用する。

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公開日: 2021-12-27  

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