研究課題/領域番号 |
20K04109
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
中久喜 伴益 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 助教 (10263667)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | マントル対流 / 沈み込み帯 / 水輸送 / 数値シミュレーション |
研究実績の概要 |
本研究は下部マントルの地球内部の水の貯蔵における役割について明らかにすることである。本研究では,水の貯蔵において温度の正確な見積もりが必要であるため,これまで利用してきた2次元矩形モデルによる計算と合わせて,地球が球体である効果を正確に取り入れられる円筒モデルの開発することを1つの目標としている。本年度は,これまで利用してきた2次元矩形モデルを計算するプログラムを古いFORTRAN77のコードから,より新しいFortran95に移植する作業を行なった。旧プログラムはマントル対流の複雑な性質を再現するため,コードが大変複雑な読みにくいものとなってしまっていた。このため,プログラムを書き直しながら移植するよりもスクラッチから書いた方がより分かりやすいものが書けると判断し,新規に開発した。本年度は,2次元矩形コードの運動方程式とエネルギー方程式を連立させ,マントル熱対流を計算する部分と,水輸送を計算するための粒子法を用いた物質輸送方程式を解く部分の開発を行なった。運動方程式を解く部分はこれまでに利用してきた流線関数を使用し,離散化した式を改定コレスキー法により解く方法とした。エネルギー方程式を解く部分では,様々な相変化による潜熱の効果を正しく計算するため,拡散項に陰解法を用いる方法とした。このプログラムを開発する際,プログラムを公開することを目指して,通常ライブラリを使用することが多い行列計算を含め,全ての部分をオリジナルのプログラムに書き直した。また,将来沈み込み帯における物質の変形と異方性の関係を明らかにし,水輸送と異方性の関係を調べるために必要な,物質の有限変形を計算するサブモデルの開発を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は円筒マントル対流モデルに粒子法による物質輸送モデルを結合するところまで研究を進展させる予定であった。しかしながら,本年度は,2次元矩形コードをFortran95に準拠して新たに書き直し,さらに粒子法による物質輸送モデルを計算するプログラムの開発したところで,物質変形を計算するモデルの開発を行なった。これらの2つは本来の研究計画になかった予定の研究である。このため,当初の予定の円筒マントル対流プログラムの開発に着手できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後,円筒マントル対流モデルを用いた水輸送モデルを完成させるため,温度から含水率の最大値の計算,および,プレート沈み込みを実現させるためのレオロジーモデルの組み込みを行う必要がある。これらをモデルの結合を行うため,以下の通り開発を行う。(1) 含水率の最大値を計算するプログラムのFortran95へ移植,(3) 含水率の最大値の計算と水輸送を結合して脱水過程を含めた水輸送計算のプログラムを作成,(2) レオロジー計算プログラムのFortran95への移植。これらのプログラムの開発と同時に円筒マントル対流プログラムの修正を行い,両者を結合させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染の拡大を抑止するため,情報収集や学会出席など出張ができなかったことと,在宅勤務が多く,学生への研究補助業務の依頼ができなかったため,旅費と人件費を中心に未使用額が生じた。 未使用になった研究費は,データ保存装置のRAIDなどのメンテナンス用パーツの購入,本年度導入予定の端末装置のグラフィック表示装置のアップグレード,論文の出版費用に割り当てる予定である。
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