研究実績の概要 |
本研究は地球惑星科学に極めて重要な白亜紀における国際対比が可能な時間軸を、日本の白亜系堆積物に対して提供しようとするものである。具体的には、白亜系堆積物に対して最適な還元化学消磁(RCD)を開発し、効率的な二次磁化除去手法を確立することを目的としている。地磁気逆転境界を見出し、磁気層序を確立することで、サントニアンーカンパニアン境界を挟む年代軸を付与する。白亜系のような古い岩石の磁気層序の確立は、いかに二次磁化を消去するかが最大の鍵となる。効率的な二次磁化除去手法の確立は堆積物の古地磁気研究にとっても極めて意義が大きい。申請者は古くから二次磁化の消磁を効果的に行う方法について研究しており(e.g. Shibuya and Sasajima 1986, Shibuya et al. 1991, Anai et al. 2018)、その実績を踏まえて、白亜系の古地磁気研究に取り組んだ。 現在までに利用実績のある消磁テクニックとして、熱消磁・交流消磁・還元化学消磁があるが、それに加えて、Okada et al. (2017) などの上総層群の研究で有効性が確認されている熱消磁と交流消磁のハイブリッド法の利用も検討中であるが、要素技術は十分な実績があり、すぐに適用可能である。
参考文献:Anai et al. (2018) Earth, Planets and Space, 70:184. Okada et al. (2017) Earth Planets and Space, 69, 1-19. Shibuya and Sasajima, (1986) J. Geophys. Res., 91, 14105-116. Shibuya et al. (1991) Proc. ODP, Sci. Results, 124, 519-523.
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