研究課題/領域番号 |
20K04134
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
渋谷 秀敏 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (30170921)
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研究分担者 |
山本 裕二 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 教授 (00452699)
望月 伸竜 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 准教授 (60422549)
穴井 千里 高知大学, 海洋コア総合研究センター, 客員助教 (00845779) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 古地磁気学 / 白亜紀 / 蝦夷層群 |
研究実績の概要 |
本研究は地球惑星科学に極めて重要な白亜紀における国際対比が可能な時間軸を、日本の白亜系堆積物に対して提供しようとするものである。具体的には、白亜 系堆積物に対して最適な消磁手法を開発し、効率的な二次磁化除去手法を確立することを目的としている。対象として、主として北海道苫前地域を中心とする蝦夷層群の古地磁気測定を行なう。蝦夷層群中の地磁気逆転境界を見出し、磁気層序を確立することで、サントニアンーカンパニアン境界を挟む年代軸を付与する。昨年度には、サントニアンーカンパニアン境界の指標として、白亜紀正超磁極期の最後とすることがIUGSで決定された現状からも(Gale et al. 2023 Episodes)、蝦夷層群の古地磁気層序研究の重要性は増して来ている。 古い岩石からの、効率的な二次磁化除去手法の確立は堆積物の古地磁気研究にとっても極めて意義が大きい。現在のところ、ペルム紀三畳紀の赤色チャート層を除くと、まとまった形での古地磁気研究は少ない。本研究では対象・消磁手法など、新規な古地磁気ツールを開発し、古地磁気学の進歩に貢献することも目的である。測定対象として、現在まで、古地磁気測定があまり行われて来なかった、堆積物中のノジュールを用いること、消磁手法に還元化学消磁・熱消磁+交流消磁のハイブリッド消磁を適用することなどを試行するなどの新規なテクニックの開発を行っている。また、古地磁気測定の信頼度を検証するための岩石磁気学的な研究も進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度2021年度はCOVID19の影響や、研究代表者の移動などの困難が多かったが、プロジェクト開始以前に最終した既存試料の古地磁気測定や岩石磁気測定を行って来た。その結果、ノジュールを用いたハイブリッド消磁が有望であること、それから、正帯磁/逆帯磁の境界の候補と思われる層準が見出されたことなどが分かっている。本研究には古地磁気測定のスキルに長けた実験補助員が必要であるが、古地磁気関連の他プロジェクトとの関連で、予定していた2022年度で雇用することができなかった。それで、2022年度は、測定を細々と進める状況で、進捗が大きく遅れている。また、通常堆積物の還元化学消磁については、エッチャントの浸透の実験技術を確立することがまだできていない。
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今後の研究の推進方策 |
当初の目的からは離れることになったが、還元化学消磁の開発は一旦置いておいて、ノジュールのハイブリッド消磁の方向で研究を進めることとした。2023年度であれば十分なスキルのある実験補助員が、本研究に参加できるとの見通しであったので高知コアセンターにて雇用の予定で、上記の古地磁気測定や岩石磁気測定に従事してもらう予定である。また、2022年度まで、協力者の予定等でのびのびになっていた、新たなサンプリングも7月に予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では古地磁気測定のスキルに長けた実験補助員が必要であるが、2022年度には他の研究事業との競合で採用することができなかった。そのために予算の大半を繰越すこととなった。 2023年度には、調整の結果、実験補助員参加の目処が立ったので、2023年度に古地磁気測定のや岩石磁気測定を集中して行うほか、新たなサンプリングを実施する費用に充てる。
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