研究課題/領域番号 |
20K04143
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 聡 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (60615251)
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研究分担者 |
武藤 俊 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究員 (80849951)
朝比奈 健太 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究員 (40728276)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 古生代 / 中生代 / 無酸素海洋 / 鉄化学種 / 微量元素 |
研究実績の概要 |
令和2年度は、研究環境の整備、野外調査試料採取、堆積岩サンプルを用いた鉄化学種の分析、論文の投稿を行った。 研究環境を整備するために、代表者が保管している遠洋環境を記録した堆積岩の試料をリスト化、再度ラベリングした。このことにより、今後の分析対象サンプルの選別と国内外の研究機関への輸送が効率化する。 京都府福知山周辺に位置する兎原セクション(ペルム紀-三畳紀境界)と足谷セクション(前期三畳紀)を対象に野外調査を行った。限られた時間内ではあったが、層序の観察と無酸素海洋を記録する黒色粘土岩層の分布について成果が得られた。 また、神奈川県立生命の星・地球博物館において、同館に保管されているペルム紀-三畳紀境界を記録する炭酸塩岩コア試料を観察し、一部を分割採取した。 ニュージーランド北島より採取したワイヘケセクション(ペルム紀-三畳紀境界層)のサンプルを粉末化し、希塩酸処理による鉄元素溶解処理を行った。得られた溶液を分光光度計で分析し、二価鉄と三価鉄の濃度を測定した。このデータを基に、黄鉄鉱の酸化による鉄元素(loosely crystallised Fe)の濃度を定量評価した。また、同セクションから得た岩石切断研磨面と薄片の観察により黄鉄鉱の酸化された箇所がある傾向を確かめた。 ワイヘケセクションの地球化学分析結果をまとめ、論文を作成した。国内の研究者、英国リーズ大学グループとオンライン会議による議論を重ね、内容を改訂した。完成した原稿を国際誌Global and Planetary Changeに投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ感染症の蔓延により、東京からの野外調査出張を最小限に抑えた。 今後、情況をみながら必要なサンプルを得られるように活動したいと考えている。 研究機関の往来、海外への渡航制限がなされている状況下で、オンライン会議システムを活用して研究の進捗確認や議論を行った。
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今後の研究の推進方策 |
前期三畳紀の無酸素海洋環境と微量元素の埋没フラックスを求めるために、採取したペルム紀-三畳紀境界、前期三畳紀の堆積岩試料を基に、微量元素組成分析、鉄元素化学種分析を進め、データを得る。 これまでの活動で得られた炭酸塩岩のサンプルを整理し、微化石年代の詳細解明を進めていく。また、追加分析のために必要なサンプルを見定め、野外における試料採取作業の計画を立てる。 層序観察、地球化学分析の結果をまとめ、順次国際誌論文原稿を準備していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
感染症の蔓延が危惧され、遠隔地への渡航・往来が制限されていた。そのため、野外調査と他研究機関への出張を最小限に抑えた。
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