研究課題/領域番号 |
20K04144
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
松岡 篤 新潟大学, 自然科学系, 教授 (00183947)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 放散虫 / パンタネリウム属 / 中生代 / 化石種 / 殻孔数 / 系統進化 |
研究実績の概要 |
パンタネリウム属放散虫についてすでに記載されている80種あまりについて,記載論文の網羅的な検討を進めた.ホロタイプの形態的特徴を整理するとともに,ホロタイプの産地,産出層準,産出年代範囲について検討した. 一般的な傾向として,パンタネリウム属が出現した三畳紀新世からジュラ紀中世までは,外層殻に殻孔数32以上をもつ種が普通にみられるのに対して,ジュラ紀新世以降には殻孔数32以下の種になっていく傾向が認められる.パンタネリウム属は大局として,外層殻の殻孔数を減じるような形態変化を起こしている様子がうかがえる. これまでに入手した11個体のマイクロCT像にもとづく検討では,外層殻にみられる殻孔数は24から32の範囲までの個体がある.具体的な個体数は,24(2),25(1),26(1),27(1),28(3),29(2),32(1)となっている(括弧内は個体数).これらは,白亜紀最初期の同じ岩石から得られた標本である. 外層殻の殻孔数といった不連続な形質に対して,広い変異幅をもっていることがわかる.殻孔数28を中心として,個体数がやや集中していることがわかるが,特に顕著に多産する殻孔数(マジックナンバー)があるという傾向は現段階ではみられない. 今後,三畳紀から白亜紀古世にわたる別の年代のパンタネリウム属放散虫についてマイクロCT像を得ることによって,正確な殻孔数を把握することにより,殻孔数分布様式の地質年代による推移を明らかにしていく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
JAMSTECにおけるマイクロCT測定は本研究の重要な実施項目であったが,新型コロナウイルス感染症の流行の影響で出張が制限され実施することができなかった.このため,測定データの取得の面でやや進行が遅れている.マイクロCT測定以外の検討項目については当初の予定どおりに進行している.成果発表については,予定されていた第16回国際放散虫研究集会が延期されることになった.また,日本地質学会の2020年大会が中止となった.これらのため,発表の機会が制限された.
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今後の研究の推進方策 |
JAMSTECにおけるマイクロCT測定は本研究の重要な実施項目であったが,新型コロナウイルス感染症の流行の影響で出張が制限され実施することができなかった.人の移動が制限される事態が続くようであれば,共同研究者に試料を送って計測を依頼するなどといった対応をとる予定である.成果発表を予定していたスロベニアにおいて2020年9月に予定されていた第16回国際放散虫研究集会も開催が延期されることになった.成果発表についても,別の学会などでの発表に切り替えるなどの対応を取る予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症流行のため,実験のための出張が実施できなかったことと,予定していたヨーロッパでの国際会議ならびに国内学会が延期ないし中止になったため.コロナ禍が収まれば出張回数を増やして実験を実施するとともに,野外調査による試料採取を進める.
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