アンモナイトなどの頭足類の成長に伴う殻形状の変化パターンの進化的意義を理解するために,そうした変化パターン毎に静水・流体力学特性を評価した.殻形状の変化を表せる数理モデルを用いた解析から,殻表面にかかる摩擦が遊泳時の抵抗を支配する小さな段階では静水力学特性と流体力学特性は両立するが,サイズが大きくなって物体の形状による圧力抵抗が支配的になると,巻きの緩さと殻断面形状のいずれに関しても両者を高いレベルで両立させるような形状変化を実現できないこがわかった.120種のアンモナイトの計測から,ある程度成長して以降に両方の機能特性がバランスするような成長の仕方をする種が比較的多いことが明らかとなった.
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