研究課題/領域番号 |
20K04154
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
矢部 淳 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 研究主幹 (20634124)
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研究分担者 |
齊藤 毅 名城大学, 理工学部, 准教授 (50242813)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ブナ属 / 東アジア温帯林 / 後期中新世 / 前期鮮新世 / 環境解析 |
研究実績の概要 |
本研究では,東アジア温帯林の成立史を解明するため,各地でその主要構成要素となっているブナ属をモデルに,その優占林がどのような環境的背景のもとで成立したかを明らかにすることを目的としている.そのため,ブナ属化石が多産し,化石群集の構成も現代化しはじめる,新第三紀後期中新世ー前期鮮新世(約1200万年前ー約350万年前)の化石群集を対象に,ブナ属化石の分類学的研究と,化石群集の葉相観に基づいた環境解析から,ニッチモデルを用いた種分化と環境への適応史の解明に取り組む計画である. 研究初年度となった令和2年度は,研究代表者(主に葉化石を専門)以外に,化石花粉の専門家(研究分担者)と種実化石専門家(研究協力者)からなる研究グループを組織し,オンライン会議システムを利用した研究会議を数回実施した.当初は岡山県/鳥取県境界付近(伯耆地域)に分布する後期中新世ー前期鮮新世の化石産地の現地調査を進める予定であったが,新型コロナウィルス感染症拡大の影響で野外調査に取り組むことはできなかった.このため,各自の担当する器官(葉,花粉,果実)ごとに,化石種との比較に必要な現生標本の比較データの収集と蓄積に努めた.また,各地の化石データの分類学的研究結果を環境条件とあわせて解析するため,研究代表者の研究室にモデリングを行うための解析システムの導入を進めた.さらに,研究開始前年に予察的に収集した年代測定試料を外部業者に委託分析した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は,野外地質調査とその分析を計画していたが,調査を計画していた秋に新型コロナウィルス感染症拡大の影響があった.実施時期の見直しを計画したものの,グループの構成員がウィルス拡大の影響が互いに異なる場所に勤務することや,他業務との兼ね合いもあり,結果的に現地に赴いて調査を実施することができなかった. このため,それぞれで進めることができる現生比較標本のデータ収集に努めたが,研究全体としての進捗に遅れがあることは否めない.
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今後の研究の推進方策 |
本研究では,全国3箇所での野外地質調査と得られたデータの解析を計画している.令和3年度は,当初より計画していた東海地方での野外調査を夏前に実施し,年度内に得られたデータの解析を完了させる.一方,昨年度実施するはずであった岡山ー鳥取県境(伯耆地域)での野外地質調査を令和3年秋に実施するため,調査の許可申請を進める.得られたデータの解析は令和3年度と4年度にまたがって行う.令和4年度は,北海道道北地方での野外調査を実施し,前年からのデータ解析と合わせて,できる限り令和4年度内に解析を進める.最終年度となる令和5年度は,当初予定の通り総合的な解析と論文作成に取り組む年としたい. 本研究の研究成果については,令和4年度秋に計画されている古植物学・花粉学会議(EPPC:スコットランド)での発表を一つの目標とし,国内学会での発表も適宜行いたい. 新型コロナウィルス感染症の影響は今後も続くと予想されるが,野外調査が実施不可能となった場合には,博物館等に収蔵されている標本の利用に方針を変更するなど,社会情勢の変化に柔軟に対応し,研究計画内に成果が得られるように最大限努力したい.
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度に野外地質調査(岡山ー鳥取県境付近)を実施することができなかったため. 令和2年度実施予定であった調査は,令和3年度内に追加して実施する予定である.
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