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2020 年度 実施状況報告書

Ti-6Al-4V大粒径粉末の高速加圧焼結に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K04168
研究機関摂南大学

研究代表者

池田 周之  摂南大学, 理工学部, 教授 (50845724)

研究分担者 三宅 修吾  神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (60743953)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードTi-6Al-4V / 純Al / 粉末 / 焼結 / HIP
研究実績の概要

本研究ではAl元素のチタン合金粉末(Ti-6Al-4V)への高温での拡散挙動およびチタン合金粉末の合体、結晶粒成長の抑制効果を解明すると共に、実証実験によりチタン合金(Ti-6Al-4V)の粉末焼結の短時間化、低コスト化に向けた焼結プロセスの確立を目的とする。2020年度は大阪チタニウムテクノロジーズ社製TILOP64(Ti-6Al-4V)の105μm以上の大粒径粉末を供試材として使用し、(1)純Al粉末の添加量と(2)熱処理温度がチタン合金粉末の焼結性に与える影響を走査型電子顕微鏡による金属組織観察と元素分析を行った。
チタン合金粉末と同等粒径の純Al粉末を0~10wt%添加して焼結実験を行った結果、2%以上の純Al粉末添加で焼結性が向上し、純Al粉末の添加量が多いほど良好な焼結金属組織の割合が増加する。一方、純Al粉末無添加の供試材についてはTi-6Al-4V粉末が酸化して良好な焼結金属組織を得ることができなかった。
950~1050℃×60min空冷の熱処理を行い、純Al粉末を添加した場合には温度による焼結金属組織は小さく、純Al粉末の添加量が増えると焼結性が向上する傾向がみられた。
上記の結果はいずれも高温での熱処理を行う前に300℃×10min、440MPaの圧力をかけた仮焼結処理を行っている。仮焼結処理を行わない場合、純Al粉末の添加量に関わらずTi-6Al-4V粉末が酸化して良好な焼結金属組織を得ることができなかった。これは仮焼結時に加えた圧力により軟らかい純Al粉末が塑性変形することで硬いチタン合金粉末の空隙を埋め、熱処理前の供試材の充填率(密度)が高くなっていることに起因するものと推察している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2020年度については、当初予定していた(1)純Al粉末の添加量、(2)熱処理温度について金属組織評価を行うことができた。コロナ禍の影響もあり所属研究機関が保有する大気熱処理炉で実験を行ったが、大気中での仮焼結後に大気炉で無加圧で良好な焼結部材が作成できており、当初想定していたよりも低コストで実用性の高い焼結プロセスが実現できる可能性があることが分かった。また、300℃程度の温間での仮焼結プロセスが最終の焼結性に大きく寄与することも明確化することができた。
以上の様に、当初の計画通りに進捗しており、本研究で検討している技術の課題を抽出すると共に優位性を活かした開発指針を得ることができた。従って、「おおむね順調に進展している。」と自己評価することとした。

今後の研究の推進方策

2020年度の検討結果から(1)純Al粉末の添加がチタン合金粉末(Ti-6Al-4V)の焼結性向上に効果があることが分かった。さらに、300℃程度の温間で圧力をかける仮焼結処理の効果も大きい。そこで、2021年度は仮焼結処理の影響やメカニズムについてまず検討を進めていく。具体的には純Al粉末添加量、仮焼結温度、圧力をパラメータにして仮焼結処理時の純Al粉末の塑性変形と供試材の充填率(密度)を評価する。
(2)熱処理温度については950~1050℃はチタン合金粉末(Ti-6Al-4V)の2相域(α+β域)であり、より高温のβ単相での熱処理を行い熱処理時間の短縮について検討していく。
Al元素の拡散挙動については、Alを含むチタン合金粉末(Ti-6Al-4V)では分解能の問題もあり定量評価が難しいため純チタン粉末を供試材とすることも検討する。
本研究では最終目的としてチタン合金(Ti-6Al-4V)の粉末焼結の短時間化、低コスト化に向けた実用的な焼結プロセスの確立を目的としている。2022年度以降に実証試験を行うための課題抽出も2021年度に行う予定である。

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公開日: 2021-12-27  

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