研究課題/領域番号 |
20K04171
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
王 慶華 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (20726856)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 材料評価 / 画像処理 / 三次元変形測定 / 変位分布 / ひずみ分布 / 位相解析 / ステレオサンプリングモアレ法 / 実体顕微鏡 |
研究実績の概要 |
構造材料の機械的特性や損傷挙動を評価する上で、3次元変形分布測定は極めて重要である。本研究では、材料の損傷メカニズムの実験的解明や壊れにくい材料設計指針の確立への貢献を目指し、光学的手法と画像処理による3次元変形分布計測技術の開発を進めている。研究実施計画に基づき、今年度は新たに全視野3次元変形計測のためのステレオサンプリングモアレ法を開発し、精度検証と応用実験を実施した。 開発した手法の基本原理は以下の通りである。2方向から記録した格子画像から、空間位相シフト法を用いたサンプリングモアレ位相解析により、画像平面上の変位を得ることができる。ワールド座標系と画像座標系における変位の幾何学的関係から、ワールド座標系における3次元変位分布とひずみ分布が測定可能である。本手法は、ステレオビジョン技術とサンプリングモアレ法を組み合わせ、3次元変形分布の非接触・非破壊計測を実現するものである。 また、開発した実体顕微鏡の収れん角の校正方法を用いて、対物レンズと拡大レンズの倍率の組み合わせが異なる場合の収れん角のデータベースを構築した。検証実験の結果、ステレオサンプリングモアレ法で測定した面外変位と自動ステージの移動量との差は0.2μm以下であることが確認された。開発した手法を用いて、3点曲げ試験における異なる荷重下で炭素繊維強化プラスチックCFRP試験片の微視的な面内変位とひずみ分布、および面外変位分布を測定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年間の研究を経て、当初想定していた3次元微小変形分布測定手法の開発と測定システムの構築に成功した。当初の計画通り、ステレオサンプリングモアレ法の変形計測原理の導出、測定精度の実験的検証、複合材CFRPの3次元変形分布測定への応用が徐々に実現されてきた。本研究の成果を活かして、外部発表も積極的に行っている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果を踏まえて、2022年度は3次元変形分布計測の応用に関する研究を進めていく。今年は主に機械的負荷をかけた金属合金材料の3次元変形分布の測定に注力する予定である。開発したステレオサンプリングモアレ法を用いて、引張試験における金属合金の微小変形分布を測定し、ひずみ集中箇所を検出できるようにすることを目指す。
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