半導体デバイスや複合材料の分野では、材料開発・性能評価の際に、微小領域での変形分布の測定が重要となっています。しかし、現状では、マイクロ領域での3次元変形分布の測定は容易ではありません。そこで、本研究では産総研が持つモアレ位相解析技術を活用し、実体顕微鏡下において材料の3次元微小変形分布を計測できる立体視モアレ技術とそのシステムを開発した。本年度の 主な 研究成果は以下の通りである。 立体視技術とサンプリングモアレ法を融合することで、材料の微小領域での面内変位・ひずみおよび面外変位を含む3次元微小変形分布計測技術の改良と検証を行った。また、提案した格子ピッチの変化から収れん角を校正する方法を用いて実体顕微鏡の収れん角を測定したところ、校正結果は顕微鏡メーカーが提供する基準値に近いものであった。 開発手法の応用として、[±45°]炭素繊維強化プラスチック(CFRP)積層板の3次元微小変形を測定した。CFRP断面に紫外線ナノインプリントで15umピッチの2次元グレーティングを作製した。ガリレオ式平行光学系実体顕微鏡下において、三点曲げ試験におけるCFRP積層板の面内変位とひずみ分布および面外変位分布を測定した。異なる荷重下におけるマイクロスケールでのCFRPの3次元変形分布特性とその変遷をの解析した。 本技術は、様々な材料の破壊メカニズムの実験的解明や信頼性の高い材料設計指針の確立への貢献も可能です。
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