研究課題/領域番号 |
20K04173
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
泉 聡志 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (30322069)
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研究分担者 |
波田野 明日可 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (20707202)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 分子動力学 |
研究実績の概要 |
高分子/固体ハイブリッド界面ポテンシャルの開発と粘着剤への応用 2020年度に開発した界面ポテンシャルに、潤滑剤に含まれる主要な元素を追加した。合わせこみの手法は2020年度と同様である。具体的には、O-Fe-P-Zn-S系原子間ポテンシャルを開発し,ZnDTPトライボフィルムと酸化鉄との間のトライボケミカル反応を対象としたMD計算を行った.摺動による圧力やせん断応力,Fe原子の拡散によりリン酸鎖が解重合されることが明らかになった.またその結果としてZnDTPトライボフィルムの耐摩耗性が向上することが分かった.さらに上記のZnDTPトライボフィルムに対する硫黄添加の影響について調べた.その結果,摺動によりトライボフィルム中にZnSO4の微小結晶領域が形成されるという現象が観察された。 また、粘着剤について、前年度作成したポテンシャルを利用し、分子量と架橋構造を変えた粘着剤モデルを用いて剥離シミュレーションを行った.その際,高分子に対する独自のネットワーク図を作成し,粘着剤の構造と剥離時の挙動が追跡可能であることを新たに示した.さらにこのネットワーク図と,アモルファスSiO2と結合した部分鎖が剥離の進展とともに結合原子対の数が増減するグラフを作成し、剥離プロセスの詳細解析を可能にした.剥離エネルギーについては粘着剤の分子量が大きくなると,増えることが分かった.これは剥離に寄与する粘着剤原子の数が増え,粘着剤が完全に剥離するまでに必要なエネルギーも増えるためと考えられる.一方で剥離応力の最大値は分子量に依存しなかった.粘着剤の分子鎖の配置や架橋構造について上記ネットワーク図と結合原子対の増減グラフを用いて分析したところ,剥離応力が最大となる付近で,シリコンウェハと結合している部分鎖の本数が多いほど剥離応力の最大値が大きくなることが明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目標の一つであったZnDTPのポテンシャルは完成した。粘着剤については、研究としては十分な成果を挙げたので、研究を終了した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はMoを追加して、MoDTCの再現と本格的な摩擦現象への応用計算を行う予定である。また、ポテンシャル作成時に整備した学習データを生かして、ニューラルネットワークなどの新しいポテンシャル作成も試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
半導体不足などのため、年度内に納品が間に合わなかったため。
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