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2022 年度 実績報告書

高分子/固体界面原子間ポテンシャルの開発とトライボケミカル反応膜への応用

研究課題

研究課題/領域番号 20K04173
研究機関東京大学

研究代表者

泉 聡志  東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (30322069)

研究分担者 波田野 明日可  東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (20707202)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード分子動力学
研究実績の概要

(1)トライボケミカル反応膜と摩擦現象への応用
ZnDTPトライボフィルムの主構造であるリン酸亜鉛と酸化鉄間のトライボケミカル反応を再現可能なO-Fe-P-Zn系の電荷移動型ポテンシャルの開発を行った.開発したポテンシャルを用いて長鎖リン酸を主構造とする長鎖メタリン酸亜鉛モデルを作成し,酸化鉄,メタリン酸亜鉛間の摺動シミュレーションを実施した.摺動によりメタリン酸亜鉛構造が短鎖化し,立体的な分岐をもつ構造へと変化した.また,界面付近では鉄と亜鉛の交換によるFe/Zn混合層の形成,密着が生じることがわかった.また,混合層を形成することにより酸化鉄との界面付近のトライボフィルムが硬質化した.これは,Fe原子を介してリン酸鎖同士が結びつくことにより,より強固なリン酸鎖ネットワーク構造を形成していることを示唆している.界面に硬質な混合層が形成されることにより,せん断剛性の小さいバルク層が犠牲的にせん断変形し酸化鉄の変形や摩耗を防止すると考えられる.
(2) 粘着剤-シリコンウェハ間のはく離現象への応用
感圧粘着剤とシリコンウエハ間の剥離挙動を分子動力学により調べた.様々な分子量の接着剤と非晶質SiO2によりモデル化されたシリコン基板の表面粗さを使って剥離シミュレーションを行った.応力-変位曲線,剥離応力の最大値,および剥離に必要なエネルギーに焦点を当てた.分子量および表面粗さが大きくなればなるほどより大きい剥離エネルギーを誘起することが分かった.剥離エネルギーは,界面の結合状態に依存する.対照的に,剥離応力の最大値は,分子量と部分的に相関している.剥離過程の詳細な観察から,剥離応力は,接着剤分子鎖のネットワークに依存することが分かった.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 分子動力学法による粘着剤-シリコンウェハ間のはく離現象への粘着剤の分子量が及ぼす影響2022

    • 著者名/発表者名
      岩方 裕一, 泉 聡志
    • 雑誌名

      材料

      巻: 71-2 ページ: 143-150

    • DOI

      10.2472/jsms.71.143

    • 査読あり
  • [雑誌論文] TeaNet: Universal neural network interatomic potential inspired by iterative electronic relaxations2022

    • 著者名/発表者名
      So Takamoto, Satoshi Izumi, Ju Li
    • 雑誌名

      Computational Materials Science

      巻: 207 ページ: 111280

    • DOI

      10.1016/j.commatsci.2022.111280

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] ZnDTPトライボフィルムの摩擦特性解明のためのO-Fe-P-Zn-S系原子間ポテンシャルの開発2022

    • 著者名/発表者名
      久米一輝,小林森,榊間大輝,河口健太郎,波田野明日可,宮内勇馬,泉聡志
    • 学会等名
      トライボロジー会議2022春東京

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公開日: 2023-12-25  

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