軽水炉圧力容器は中性子照射の影響により脆化する。照射により材料内部には非平衡欠陥が生成しそれらがナノレベルの欠陥クラスターを形成するが、これが照射脆化の原因となる。こうしたナノ欠陥生成を機構論に基づき予測することができれば、高経年炉圧力容器の劣化の程度の予測・評価、それに基づく予防保全策の策定が可能になる。本研究では、(1)非平衡欠陥材料学に基づき非平衡欠陥生成率評価を行い、統計学的に整理すること、(2)マルチスケールモデリングにより、欠陥クラスター核生成現象を高精度に評価することに成功した。これらの知見は、近年注目されている確率論的リスク評価の枠組みで、脆化予測法を議論するのに有用である。
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