| 研究課題/領域番号 |
20K04185
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| 研究機関 | 東京都市大学 |
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研究代表者 |
秋田 貢一 東京都市大学, 理工学部, 教授 (10231820)
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| 研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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| キーワード | 中性子応力測定 / 格子定数 / ひずみ |
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| 研究実績の概要 |
中性子応力測定技術高度化の一環として、オーステナイト系ステンレス鋼の繰返し塑性変形時における、マトリックス（オーステナイト）と変形誘起マルテンサイトの応力分配に伴う組織依存の力学応答を検討した。
塑性ひずみを与えて繰り返し負荷を与えた316Lステンレス鋼のオーステナイトとマルテンサイトの両相の応力を、その場中性子回折で解析した。中性子回折で求めたLDの実際の応力は、ピーク引張荷重下ではオーステナイト、マルテンサイトともに引張であるが、TDの応力はオーステナイトでほぼゼロ、マルテンサイトでは圧縮であった。圧縮ピーク荷重をかけた場合，オーステナイトのLDの応力は圧縮性であり，TDの成分は比較的小さく，わずかに引張であった。除荷時の応力は，オーステナイトではLD，TDともに小さいが，マルテンサイトではLD，TDに大きな圧縮応力が存在した。
オーステナイトでは、転位密度の平方根と流動応力の関係は、繰返し負荷で直線的に推移した。その結果、加工硬化と軟化によってオーステナイトの流動応力が変化することが明らかとなった。マルテンサイトでは、実際の応力は負荷応力と相応力から想定される値より小さいが、実際の応力から残留応力を差し引いた見かけの応力は想定した値と一致した。全体として，繰返し荷重時の負荷応力の増加は，オーステナイトの硬化と軟化，および繰返し荷重中にマトリックスオーステナイトから変形したマルテンサイトの増加に起因している。変形によるマルテンサイト変態の結果、静水圧圧縮残留応力は主にマルテンサイトの体積変化から生じる。また、マルテンサイトの応力は3軸状態であり、マルテンサイトの降伏強度は等価応力で評価する必要がある。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究室の引越しのため研究室装置が半年以上使えず、学内で予定していたⅩ線装置によるｄゼロ確認実験が十分には行えなかった。
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| 今後の研究の推進方策 |
2023年度は、六方晶金属の基準格子定数測定技術検討のため、チタン合金を素材として試験片を作製して応力測定実験を実施予定である。実験室のⅩ線応力測定装置によるsin二乗プサイ法にて残留応力を測定し、適切なｄゼロ決定法を明らかにする。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
六方晶金属におけるｄゼロ検討のため、チタン合金素材を試験片形状に加工する予定であったが、研究室の引越しのために実験室装置での実験の見込みが立たず、試験片加工を先送りにしたため。2023年度は、試験片加工を外注して予定していたｄゼロ測定実験を実施予定である。
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