産業界において中性子による残留応力測定ニーズが特に高い溶接部では、溶接時の原子拡散のために基準格子定数が空間的に分布するため、応力除去焼きなましを施しても無応力状態が得られない。この対策として試料に細かい切り込みを導入することで応力を解放させたいわゆる櫛状試験片が用いられている。しかし、この試験片の適切な準備方法が確立されていないという問題があった。本研究では、d0測定における種々の影響因子を実験及び数値解析的に明らかにし、応力解放させる方向の切り込み幅(櫛の歯幅)は3㎜以下が適切であることなどを明らかにし、d0測定用試料の標準化に向けた重要な知見を得た。
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