本研究でDLC膜の耐熱温度の改善はSiO2結晶含有DLC膜によるものであること、この膜を合成するためには膜中にSiOx結合を含んでいる必要があることを明らかにした。また、SiO2結晶含有DLC膜で低摩擦係数を実現するためにはSiO2結晶含有DLC膜のC/Si組成比が0.4~4.5程度必要である可能性があることが示唆された。また、高精度にSi添加量を制御するためのスパッタリング/ PBII&D複合成膜技術開発においては、基板材料に依存しないイオン照射機構を開発し、これによってDLC膜の欠点であった耐熱性を改善でき、かつそれを実現するための成膜技術の可能性を示すことができたと考えている。
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