研究課題
【最終年度の成果】これまでの研究成果をもとに数値解析を実施し,機械特性の比較および繊維配向制御による軽量化への影響(効果)について検証した.金型内を流動する樹脂材料は金型による冷却によってキャビティ表面近傍から固化層を形成しながら充填される.この固化層形成は樹脂金型界面の熱伝達減少によって決定されるため,数値解析においては境界条件として熱伝達係数が必要となる.今期はこの熱伝達係数を実験的に計測し,数値解析における境界条件として定義し計算を行った.その結果,固化層成長の予測精度は低いものの,成形プロセス条件(繊維配向制御因子)による繊維配向制御の傾向を再現できることがわかった.また,繊維配向から機械特性を予測しその結果を構造解析にマッピングして計算を行った結果,繊維配向制御によって約30%程度の軽量化が達成することが確認された.【研究機関全体の成果】本研究課題では,機械特性の発現,制御を目的とした繊維配向制御手法の確立を目的とした.まず,射出成形における繊維配向制御因子とその影響,さらには配向メカニズムについて検討した.その結果,繊維配向は樹脂流動に伴うせん断流動の影響を大きく受け,さらには固化層との境界で強く配向することがわかった.この結果から配向を制御するためには,成形中の固化層制御が重要であることを示唆している.また,数値解析(流動―構造連成解析)により繊維配向制御による部品軽量化の効果を研修した結果,3割程度の軽量化を実現できることが分かった.しかしながら,精度向上には繊維配向メカニズムから繊維配向予測モデルの構築が必要であり,樹脂流動に伴う繊維配向挙動,さらには繊維同士,樹脂と繊維の相互作用を考慮した配向モデルの構築が不可欠であり,今後これらの検証を進めることとした.
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成形加工
巻: Vol.35,No.9 ページ: 303-306
10.4325/seikeikakou.35.303
https://www2.kanazawa-it.ac.jp/yamabe/