繊維強化プラスチック射出成形品は,高強度かつ成形性の良さから広く用いられている.しかし,金型内に樹脂を充填する際,その流動によって強化繊維が配向し,そり変形や収縮異方性などの不良の原因となる場合がある.本研究では,射出成形における強化繊維の配向を積極的に制御する手法を検討した.樹脂流動挙動の可視化観察により,繊維配向挙動は,キャビティ厚さ方向の樹脂流速分布によって生じるせん断応力とその時間変化に影響を受けることが分かった.このせん断応力は固液境界層で最も高くなることから,成形中の固化層制御により配向制御でき,さらに配向制御によって成形品の力学特性も任意に制御できることを示した.
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