研究課題/領域番号 |
20K04202
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
沼田 宗敏 中京大学, 工学部, 教授 (00554924)
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研究分担者 |
近藤 雄基 法政大学, 理工学部, 助手 (90835878)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ロバストフィルタ / スプラインフィルタ / 上位互換性 / ガウシアンフィルタ / フーリエ変換 / 高速M推定法 / Bスプライン基底関数 |
研究実績の概要 |
2021年度は当初計画にある下記ステップ4)を実施した. ステップ4) 2次元フィルタ高速計算法の確立:高速M推定法では計測データz = s(x)を z 軸方向に離散化し,2次元配列 f (x, z)を生成する.また適用する2次元重み関数は, x 軸方向にスプラインフィルタの重み関数,z 軸方向に高速M推定法の損失関数である2次Bスプライン基底関数を用いる.従ってフーリエ変換は計算量の大きな2次元フーリエ変換となる.3次元表面粗さ用ローパスフィルタの研究で2次元フィルタの高速計算に関する研究業績(精密工学会誌, 2015)のある研究代表者と研究分担者が協力して,高速フーリエ変換(FFT)をベースにした高速計算法を確立する. 周波数領域における高速M推定適用(当初計画のステップ3))およびステップ4)を実現し,2020年度の研究成果である畳み込み演算型&高速M推定型ロバストスプラインフィルタ(FMSF:研究分担者ら Nanomanufacturing and Metrology, 2021)と比較して,同等のロバスト性および上位互換性を実現した.また,計算速度は上述のFMSFと比較して,データ数が約1000点を超えた場合に,周波数領域における本計算法の方が速くなることも確認できた。ただ,従来のロバストスプラインフィルタ(T. Gotoら,Precision Engineering, 2005)と同等の計算速度かどうかは未確認である. これらの成果のうちステップ4)のロバスト性と上位互換性については国内学会で口頭発表(精密工学会秋季大会,2021年9月),FMSFとの速度比較についても国内学会で口頭発表(精密工学会秋季大会,2022年3月)した.また本研究の基本技術である研究代表者らが提案の高速M推定型ロバストガウシアンフィルタとISO規格の関係について,英文誌2報を発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画では、2020年度でステップ1)前処理1,ステップ2)前処理2を実施,2021年度前半でステップ3)高速M推定法適用(周波数領域)を実施,2021年度後半から2022年度前半にかけて4)2次元フィルタ高速計算法の確立を実施,2022年度後半から上位互換性など4特性(上位互換性,ロバスト性,エンド効果,高速性)の検証のベンチマークテストを実施し,論文発表する予定であった. 2020年度は当初計画より半年早くステップ3)まで完了し,2021年度もステップ4)の7割ほどは完了し,当初予定よりは2カ月から3カ月ほど進んでいる。ステップ4では,従来のロバストスプラインフィルタ(T. Gotoら,Precision Engineering, 2005)と同等の計算速度かどうかの検証が未着手である.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は4)のステップの未実施部分および5)のステップを実施する予定である. (2022年度の研究計画) ステップ4)の未実施部分:提案する周波数型ロバストスプラインフィルタと従来のロバストスプラインフィルタ(T. Gotoら,Precision Engineering, 2005)との計算速度比較. ステップ5) 上位互換性など4特性の検証(ベンチマークテスト・論文発表):上位互換性・ロバスト性・エンド効果・高速性の4特性を従来法と比較検証する. 上位互換性は従来のスプラインフィルタの出力と比べ,入力データのPV値に対し0.1%以下の偏差を目標とする.また,ベンチマークテストを研究協力者である本学大学院生2名と実施する.研究成果は論文にまとめ,国内外で発表する.
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次年度使用額が生じた理由 |
国内での研究打合せは,2021年10月に東京で対面式にて1度だけ実施できたものの,あとは緊急事態宣言やまん延防止等重点措置発令に伴う新型コロナ感染症対策のためオンラインに切り替えた.また,成果を発表する予定だった国際会議への出席は新型コロナ感染症のため見送り,国内学会への参加もすべてオンライン参加となった.このため当初予算計上した旅費計460,000円はほとんど執行できなかった.旅費が執行できない分を,研究協力者(大学院生3名)への謝金に充て実験を前寄席で実施した.ただこれをもってしても,122,273円の予算は未使用となった. <使用計画> ステップ5)の上位互換性など4特性の検証(ベンチマークテスト・論文発表)におけるベンチマークテストを早めに実施するため,研究協力者(大学院生2名)の実験支援の謝金増額に充てる予定である.
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