研究実績の概要 |
2022年度は研究計画で述べたステップ4(2次元フィルタ高速計算手法の確立)の未実施部分およびステップ5(上位互換性など4特性の検証)を実施する予定であった. まずステップ4の未実施部分は,提案する周波数型ロバストスプラインフィルタと従来のロバストスプラインフィルタ(T. Gotoら,Precision Engineering, 2005)との計算速度比較である.N=2000以上の計測点数で提案手法が従来のロバストスプラインフィルタよりも高速であることを確かめた. 次にステップ5ではローパスフィルタの4特性の検証を行った.外れ値のないデータを用いた上位互換性の検証では,従来の逆行列型スプラインフィルタの出力と提案手法の出力間の誤差はPV値に対しわずか1/1000000であることが確かめられた.提案手法の上位互換性に関する誤差は従来のロバストスプラインフィルタと比較しておよそ1/100と小さい.なお外れ値のないデータに対し提案手法の出力は,エンド効果のない従来の逆行列型スプラインフィルタの出力とほぼ一致することから,提案手法にエンド効果が発生しないことも確認できた.高速性については,一般的な計測点数であるN=8000以上では,提案手法が従来のロバストスプラインフィルタに対し20倍以上高速であること,高速化前の提案手法(Nanomanufacturing and Metrology,"A Proposal of a Spline Filter that Achieves Both Robustness and Lower Compatibility," 2021)と比べても6倍以上高速であることが確かめられた. 以上の研究により,提案手法がロバスト性と上位互換性を両立させたスプラインフィルタであることが確認でき,国内学会誌(精密工学会誌,2023年2月)にも掲載された.
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