研究課題/領域番号 |
20K04206
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
高杉 敬吾 金沢大学, 機械工学系, 准教授 (80710235)
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研究分担者 |
森本 喜隆 金沢工業大学, 工学部, 教授 (00290734)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 形状創成理論 / 5軸工作機械 / 非直交回転軸 |
研究実績の概要 |
従来の並進3軸+直交回転2軸形の5軸工作機械の軸構成に加え,近年では回転軸を45度傾斜させた,非直交型の5軸工作機械の開発が進んでいる.非直交型では,従来課題であった機械剛性と加工スペースの両立が可能となるとなる利点を持つ一方,直交型だけでも理論上162通りの組み合わせがある5軸工作機械構造に対して,さらに回転軸を傾斜さることを許容すれば,その組み合わせは非常に膨大となる.現状では,個々に合わせた運動学を用意する必要があるため非効率であるといった課題があった. 前年度では,5軸工作機械の構造とフィージビリティとの関係を解明すべく,形状創成関数の一般化と,それに基づきフィージビリティを決める条件の導出を行った.本成果は,今年度投稿論文としてまとめ,掲載済みである.また今年度では,研究実施計画に基づき,次のステップに移行している.すなわち,5軸工作機械構造を構成する上で要求されるいくつかの指標と構造とを関連付ける評価関数の作成に取り掛かっており,現時点ではそのうちの一つとなる加工領域の関係を評価する関数の作成に取り掛かっている.加工領域は広い方が良く,5軸構造を上手く採用することによって領域を広げることができることが分かっている.これらの関係を定式化し,評価可能な関数とすることで,フィージビリティ条件を満たしつつ,加工領域を最大化できる5軸工作機械構造の導出が可能となることが期待できる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
いかなる5軸構造も回転軸を有することにより必ず特異点を有し,かつその特異点は工作物側回転軸の姿勢によることが分かった. 位置や姿勢を考えるために工作物と工具間の相対運動を表す形状創成関数の並進や回転運動が非直交となる場合の導出を行った.またその関数は非直交の並進や回転運動の積として表現される事が分かった. 非直交軸を含むときの満たされるべき条件として加工可能条件を考えた.姿勢は固定面を除く5面に対して垂直な姿勢とその間の姿勢を向くことが出来る状態,位置は任意の姿勢において並進運動が他の並進運動に対して従属とならずに独立して動かせる状態と考えられる. 上記条件を満たす軸構成の導出を行った.姿勢と位置のそれぞれに対して,並進や回転運動の軸方向の関係性により表現できることが分かった.また位置に関しては,並進や回転運動の構成順序によりその条件が変化することが分かった.
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今後の研究の推進方策 |
導出した加工可能条件を満たした上で加工に適した構造の探索を行う.その上で、非直交軸を含む場合の新たな評価方法が必要となる. そこでトレードオフとなる加工領域と剛性の最大化をしながら誤差の最小となる構造の探索を目標とし,現在は加工領域の評価を行っている.
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次年度使用額が生じた理由 |
出張費の支出が予定よりも少なくなったため. 次年度では学会発表等積極的な出張を予定する.
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