最終年度では,前年度に引き続き,一般化された5軸工作機械構造において加工スペースを表現するための解析的手法の開発を実施した.その結果,キネマティックチェーンにおいて回転軸が端に位置する,もっとも一般的な5軸工作機械構造での加工スペースを解析的に表現することに成功した.ただし,回転軸が並進軸に挟まれる形の構造においては,解析的に表現することは難しく,近似的手法を含め,今後の課題であることを認識した.また,回転軸が端に存在するケースにおいては,さらにその可視化アプリケーションを現在作成中であり,このアプリケーションにより,5軸工作機械を新たに開発する上で重要となる一指標である「加工スペース」の評価を効率的に行うことが可能となることが期待できる. 研究期間全体の成果については,まず5軸工作機械構造の運動学において,これまでの理論では各軸間が直交しているケースのみを対象としていたが,本研究において,直交しないケースに拡張,一般化することができた.これは本研究において大きな成果であるといえる.さらに,この一般化された理論に基づいて,5軸工作機械が5面を加工することのできる,すなわち5軸工作機械として成り立つための機械構造となるための条件式を導くことに成功した.また最終的な成果として,上述の通り,5軸工作機械構造と加工スペースの関係を,限定的ではあるが評価することも可能とし,今後の5軸工作機械開発において効率的な評価手法の提案が可能となった.
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