ダイヤモンドの高速固定砥粒研磨による超高能率な鏡面研磨の実現を試みた.令和2年度には,CVDダイヤモンドに対する高速固定砥粒研磨において,砥石速度90m/sの高速領域で表面粗さ0.3nmSaを下回る鏡面を得ることに成功した.しかしながら,とくに高速の領域においては,クーラント流量が少し少なくなると研磨による発熱が過大となり,工作物であるダイヤモンドの割れや剥離が生じるなど,加工中の挙動が加工圧力とクーラント流量に非常に敏感であることがわかった.令和3年度には,焼結多結晶ダイヤモンド(Polycrystalline Diamond:PCD)に高速固定砥粒研磨を適用した.その結果,加工圧力を大きくすることで,表面粗さの改善と加工能率の改善を両立することが可能であることを明らかにした.ただし,砥石速度90m/sにおいて砥石摩耗が増大することが明らかとなった.一方,円筒外周面の高能率鏡面加工としてHigh-speed Turn Polishing法を考案した. 令和4年度は,本学所有の超多機能多工程集約複合加工機(Super Processing Center:SPC)を活用してHigh-speed Turn Polishingを実現するための定圧加工ユニットの製作を行った.製作に時間を要したため十分な性能評価を実施するには至らなかったものの,縦型のマシニングセンタベースの工作機械において,円筒外周面の定圧加工を実現できる可能性を見出した.
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