本研究ではレーザを用いて台金金属の表面を溶融し,その溶融させた箇所にダイヤモンド砥粒を固着させた工具の開発を行ってきた.そこで,本申請課題の最終年度では,歯科治療用ダイヤモンド工具(ダイヤモンドバーと呼ぶ)をイメージして,レーザを工具台金にパルス照射並びに連続照射することによって,ダイヤモンド砥粒をφ1.5mmとφ3mmのチタン棒材(以下チタンバーと呼ぶ)に固着させた工具を試作した.そして,その試作した工具の表面評価を行った.また,ソーダガラスを用いて穿孔加工実験やミーリング加工実験を行うことで加工特性についても評価した. その結果,以下に述べる様なことが明らかとなった. 1.φ1.5mmの円柱型のチタンバーの端面にダイヤモンド砥粒を固着するためにレーザの連続照射とパルス照射を行い,ダイヤモンド砥粒を固着した.その結果,照射方法を問わずダイヤモンド砥粒が固着できることが明らかとなった.また,チタンバー端面に連続照射したところ,チタンバーの端面を溶かしながらダイヤモンド砥粒を固着するため,その端面を丸形状に形成できることが明らかとなった. 2.チタンバー端面のダイヤモンド砥粒の固着力評価を行うために,ソーダガラスに穿孔加工を行ったところ,チタンバー端面のダイヤモンド砥粒はパルス照射した場合よりも連続照射した場合の方が砥粒の固着力が高く,工具としては長寿命であることが明らかとなった. 3.砥粒固着力を評価するために用いた加工装置の回転数は1800rpmが最低回転速度のため,φ1.5mmのダイヤモンドバーでは工具周速が小さくミーリング加工はほとんどできなかったが,φ3mmのダイヤモンドバーを試作した結果,ソーダガラスに50mmの長さの溝加工が可能であることが明らかとなった.
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