研究課題/領域番号 |
20K04218
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研究機関 | 福岡工業大学 |
研究代表者 |
廣田 健治 福岡工業大学, 工学部, 教授 (50273256)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 鍛造 / 荷重 / 揺動 / 振動 |
研究実績の概要 |
軽量化の観点から部位毎に厚さを変えた金属部品の需要が増えており、従来のプレス工法では成形荷重が高くなり加工が困難になる。この課題に対して、本研究では水平方向に揺動動作を与えることで加圧方向の変形抵抗を低減して荷重低減をはかる新たな鍛造加工技術を開発する。令和2年度は純アルミニウムの円柱試片を高さ方向に50%圧縮する加工を対象とし、加工装置の製作と実験およびFEM解析を実施した。その結果、実験とFEM解析において揺動条件に対する荷重低減の傾向は一致したが、荷重の低減量は解析結果よりも少なくなった。 令和3年度はその原因究明をまず行った。加圧中の揺動振幅を実測した結果、アクチュエータの指令値よりも減衰しており、かつ、固定工具側にも揺動が伝播していることが判明した。この誤差を補正して試片加圧部に加わった実揺動量で荷重低減量を算出した結果、FEM解析による推定値とほぼ一致した。また、揺動振幅、揺動量、加圧速度、揺動速度の組み合わせを変えて実験を行った結果、荷重の低減量は加圧速度vに対する揺動速度uの比u/vが支配的であることを見いだした。荷重の低減率はu/vが大きくなるほど増加し、一定値を越えると飽和することも判明した。この条件域までu/vを大きくすれば、前述の揺動量の誤差は荷重低減効果に大きく影響せず、安定した加工を実現できると考えられる。 円柱試片の圧縮で得た知見をもとに、板部品の部分減肉加工への適用を検討する。また、これまでは一方向の揺動であったが、同型のアクチュエータを追加して二軸駆動とし、二方向の面内揺動を加えながら加圧を行う。令和3年度の10月以降は、これらを実現する金型及び装置の設計と改修に取り組んだ。併せてFEM解析により、アクチュエータの加圧能力により実現可能な試片寸法や揺動条件の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験結果と解析結果が合わず、その原因究明に時間がかかった。また、二軸駆動への改修を予定していたが、世界的な半導体不足の影響で二軸駆動用の直動アクチュエータおよびレーザー変位計の納期が大幅に遅れたため、装置の改修も予定より遅れてしまった。このため、予定していた実験を実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度の結果より、荷重低減に寄与する揺動条件が明らかになった。この知見をもとに、板材試片に対する荷重低減特性を実験及びFEM解析により明らかにし、本工法による部分減肉加工の効果を実証する。また、改修した二軸面内揺動装置を用いて面内で揺動方向を変化させ、荷重低減量および減肉部位の材料流動への影響について調査する。以上の実施事項に対する結果を総括し、提案した手法が従来の通常の単純な加圧に比べてどの程度有用かを量的に示す。
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次年度使用額が生じた理由 |
国内学会発表を行ったが、オンライン開催だったため旅費がかからなかった。また、半導体不足の影響で予定していたレーザー変位計を令和3年度に購入できなかった。残額はこの購入に充てる予定である。
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