研究実績の概要 |
本年度はまず、これまで開発してきたSkin Model Shapesの生成手法の実験的検証を行った。実際に加工した複数の実表面群と、提案手法を用いて生成した擬似表面群を定量的に比較した。評価法としては、既存の表面粗さパラメータSa, Sz, Sq, Ssk, Sku に類するパラメータを用いて評価した。その結果、Sskに対応するパラメータを除いて変動係数は5%以内となり、擬似表面が良好に生成できていると結論づけられた。 また、直方体部品モデルの構築法を開発した。表面モデルを6枚貼りあわせた直方体の12辺の接続部において、局所最適化で逐次接続すると表面モデル同士の隔たりが一か所に集中する問題がある。これを大域的最適化手法を用いて解決した。この成果は国際会議Computer Aided Tolerancing (CIRP)で発表された。また、計画書の予定通り、非理想形状であるSkin Model Shapesからなる2個の部品の接触状態を計算し、ガタの計算や光学的品質特性のばらつき解析などを行った。具体的には、円筒対偶における並進と姿勢のガタ解析、2穴2軸の勘合部品におけるガタ解析を行い、理想形状を想定して解析した結果との差が定量的かつ視覚的に示された。凹凸の大きさや種類が異なると、製品性能への影響度が異なることも確認された。光学製品への応用例では、簡易なレンズ系において、レンズとレンズフォルダの円環面対の平面対偶で生じる姿勢変化を計算し、焦点位置のばらつきを統計的に分析した。また、平面対偶の姿勢変化に対するSkin Model Shapesを構成する点群の数(サンプリング数)の影響を分析した。
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