研究課題/領域番号 |
20K04241
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
松本 直浩 兵庫県立大学, 工学研究科, 助教 (80843987)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 炭素ナノ粒子 / 複合材料 / CFRP / 耐摩耗特性 / トライボロジー / 高温摩擦特性 |
研究実績の概要 |
本研究ではナノ球状グラファイト粒子をエポキシ樹脂に均一に分散し、高温環境下での繊維強化複合材料の摩擦・摩耗特性を飛躍的に向上させることを目指している.本年度は、昨年度に引き続きナノ球状グラファイト粒子をエポキシ樹脂に高濃度に分散させる技術の検討を行った.ナノダイヤモンドから合成したナノ球状グラファイト粒子を用いて、ビスフェノールA型エポキシ樹脂主剤に対して、超音波ホモジナイザーにより分散およびミキサーによる混合を行った.昨年度の最大濃度5wt%を15wt%まで高めて、樹脂中での粒子の分散状態の観察を行った.樹脂の攪拌時間を増加させた結果、今回実施した最大濃度である15wt%まで凝集体サイズの増加を抑制した樹脂が得られた.また、高濃度な10wt%以上の条件において、樹脂弾性率の低下が確認された.これは、粒子を混合したことで樹脂粘度が上昇したことにより、真空脱泡処理後に微細な気泡が残存した可能性が考えられる.今後さらに脱泡精密化することで樹脂中のミクロボイド生成を抑制し、機械特性の向上を図っていく計画である.さらに、室温での摩擦試験を実施した結果、高濃度に粒子を添加した樹脂において大幅な摩耗特性の向上が確認された.これは、粒子の高濃度化および分散性改善により樹脂の摺動性、耐熱性および熱伝導性が改善した可能性があり、その影響により耐摩耗性が向上したと予想される.今後、加熱条件下において粒子添加の摩擦特性への効果検証を進めていく計画である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エポキシ樹脂へのナノ球状グラファイト粒子添加において粒子の凝集を抑えながら濃度を大幅に増加させることに成功し、これによって摩耗特性が飛躍的に向上することを確認した.このように、概ね計画通りに進捗している.
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今後の研究の推進方策 |
概ね粒子の樹脂への高濃度添加条件を確立したが、高濃度条件において僅かに機械特性の低下が生じており、樹脂脱泡の精密化などの条件をさらに精密に詰める必要がある.また、粒子分散状態と摩擦特性の関係について、摩擦面の形態観察による局所的摩耗や粒子の分散状態を比較することで、影響を検証していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の評価により、樹脂中のボイド生成など新たな課題が明らかとなり、優先的に取り組む必要があるため、購入機器を新たに検討する必要が生じたため.
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