衝撃荷重により作製した継手の接合強度は低く、打抜き穴の周辺でCFRP板の損傷が大きくなった。対策として、リベット支えという部品を考案するとともにリベット先端の傾斜角度を調整することで、衝撃荷重で作製した継手は静的荷重で作製した継手よりわずかに低い強度を持つまでに改善した。しかしながら、接合強度は改善したが、CFRP板の損傷は静的荷重で作製した継手よりもやや大きくなった。そこでCFRP板の損傷の抑制と接合強度の向上を図るため、衝撃荷重を2回加える方法を試みた。1回目の衝撃荷重は板を打ち抜ける程度に低くし、2回目の高い衝撃荷重でリベット軸を変形させて板の接合を行うようにすることでCFRP板の損傷を抑制すること、さらに衝撃荷重を用いる場合には錘のリバウンドにより接合のための荷重が不足するため、2回目に高い衝撃荷重を加えることで接合のための荷重を補うことを目指した。結果として、衝撃荷重を2回加えると1回の衝撃荷重で継手を作製する場合と同じ程度のCFRP板の損傷が生じたが、接合強度は1回の衝撃荷重のみで作製した継手よりわずかに高くなり、静的荷重で作製した継手とほぼ同じであった。衝撃荷重を2回に分ける方法は接合強度を向上させるには有効である。 衝撃荷重を2回加えることで静的荷重で作製した継手と同程度の高い接合強度を得ることができたことから、衝撃荷重を用いることで作業効率を上げることができる。さらに、衝撃荷重を2回加えて作製した継手では静的荷重で作製した継手よりもCFRP板の損傷がやや大きくなったが、ほぼ同じ接合強度が得られた。従って、リベットの高い座面圧力は損傷からの破壊を抑制する効果があり、打抜きリベット締結法で生じるCFRP板の損傷程度では、損傷の大小が継手の強度に影響しないため、打抜きリベット締結法はCFRP板と金属板の接合に有用な接合方法だと言うことができる。
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