研究課題/領域番号 |
20K04244
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
落合 成行 東海大学, 工学部, 教授 (40407995)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | トライボロジー / 気体軸受 / フォイル軸受 / 最適化 / 自己組織化 / トポロジー最適化 |
研究実績の概要 |
本研究では,極めて低摩擦である気体軸受の設計に自己組織化アルゴリズムを適用し,新しい軸受設計法を見出すことを目的としている.また実験装置を新たに設計・製作し,解析モデルの妥当性の検証も実施する計画である.フォイル気体軸受は,気体を潤滑剤として用いるため,低摩擦で環境負荷が極めて小さい軸受であるが,その支持構造においては,未だ未解決な課題を多く有する.このため,支持構造に対して,形状の最適化手法を適用することにより,問題解決を試みる. 本年度は,フォイル軸受の支持構造の最適化を有限要素法を用いた2次元モデルで実施し,最適形状を見いだすことに成功した.また2年目に計画していたジャーナル軸受試験装置の設計・製作を実施し,概ね製作を完了している.最適化計算に際しては,トポロジー最適化とフォイル軸受計算を組み合わせ,軸受負荷能力や柔軟性を高める目的に対してフォイル支持構造の最適化を実施することにより,広範囲の回転数領域,荷重領域において有効な形状を見いだし,さらに同構造の設計指針となり得る知見を見いだすことが出来た.一方,実験においては,高速回転するフォイル気体軸受の負荷能力や摩擦トルクなどの軸受特性を測定し得る装置の設計を行い,主要な部分の製作を完了した.また,以前より製作していたスラスト軸受試験装置においては,回転時の振動の不具合を解消し,摩擦トルクの測定とX線CTによる動作時の変形の様子を捉えることに成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,フォイル軸受の支持構造にトポロジー最適化を取り入れ,自己組織化のモデルと同様の発想に基づく解析を実施した.また,2年目に予定していた実験装置の設計・製作を前倒しで実施し,概ね製作を完了している.一方で,最適化した形状の製作とX線による可視化については,次年度に実施する予定となった.トポロジー最適化により,予測よりも良い結果が得られており,予定していたような自己組織化アルゴリズムまで取り入れずとも良好な結果を得るに至るものと考える.
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今後の研究の推進方策 |
解析においては,本年度確立した手法をジャーナル軸受にも適用可能なように展開する計画である.一方,実験においては,ジャーナル軸受試験装置の製作を完了し,まずは通常のフォイル軸受にて,軸受特性の測定を実施する.スラスト軸受では,本年度の成果を活かし,最適化軸受の製作を進め,軸受特性の測定と共に,X線CTを用いて実際の動作状態における変形状態の可視化を実施する.
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次年度使用額が生じた理由 |
実験装置製作を前倒しし予算調整を行ったが,一部の装置備品に差額が生じた.予算を次年度に回し,有効に活用したい.
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