本研究では,極めて低摩擦である気体軸受において,新しい軸受構造を見出すことを目的としている.また実験装置を設計・製作し,解析モデルの妥当性の検証も実施するものである.フォイル気体軸受は,気体を潤滑剤として用いるため,低摩擦で環境負荷が極めて小さい軸受であるが,その支持構造においては,未解決な課題を多く有する.このため,支持構造に対して形状の最適化手法等を適用することにより問題解決を試みる. 本年度はジャーナル軸受において,これまでの研究で見出されたバンプメッシュフォイルを適用した際の静・動特性実験と理論解析,並びに同軸受の浮上特性向上を意図してトップフォイルにフラーレンオイルを塗布した際の特性実験を行った.その結果,バンプメッシュフォイル軸受の優位性を理論と実験の両面から確認することができた.また,フラーレンオイルの浮上特性向上の効果も確認され,表面分析結果からトップフォイルにフラーレンが付着し,なじみ性向上に寄与していることも確かめられた.これらを最適設計軸受と組合せることで特性の更なる向上が期待できると考える.また,ジャーナル軸受においては,引き続き高減衰ゴムを用いた波型フォイル軸受の基礎実験を行った.ゴムの形状の工夫により,浮上特性や負荷能力の向上が確認された. 一方,スラスト軸受において,バンプフォイルの形状最適化において見出された後端指示構造をバンプメッシュフォイル軸受にも適用して,X線CTを用いた構造変形の可視化と,摩擦特性実験を実施したが,通常のバンプフォイル軸受とは異なり,バンプメッシュフォイル軸受では,後端支持が必ずしも優れていないことも明らかとなった.
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