研究課題/領域番号 |
20K04253
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
内田 英樹 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 主任研究開発員 (90450709)
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研究分担者 |
巳谷 真司 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 主幹研究開発員 (00747446)
壹岐 賢太郎 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 第一宇宙技術部門(旧、輸送本部), 研究開発員 (00770257)
安田 進 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 主幹研究開発員 (30450711)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 微小振動 / 擾乱 / 振動絶縁 / ダンパ / 人工衛星 / 宇宙機 / 構造 |
研究実績の概要 |
人工衛星内部の搭載機器が稼働する際に発生する擾乱が観測機器に伝搬することで画像の歪み等の観測結果に悪影響が生じる。本研究の目的は、人工衛星を構成する構体パネルに敷設される電源ハーネスが擾乱の伝達経路でありながら構造要素にもなり得る事実に着目し、電源ハーネスを積極的に擾乱抑止の減衰機構(ダンパ)へとその構造を仕立てる設計手法を構築することである。具体的には、電源ハーネスの束ね方や曲げ方、固縛間隔、構体パネルへの固定間隔といった電気的のみならずダンパとしても最適な構造と敷接方法等を解析的および実験的に明らかにすることであり、これらに関連する研究項目は以下の3つである。 1. 構造特性のばらつきを考慮した電源ハーネスのモデル化と構造・電気性能同時最適化 2. 超低剛性ハーネス(電源ハーネスのゼロ曲げ剛性化) 3. 電源ハーネスのダンパ化 令和4年度では、項目1について従来のハーネスの電磁適合性等に関する技術調査をさらに進めた。項目2では改良した試験の結果をまとめ、国内学会で発表した。項目3では試作したハーネス敷設パネル/ビーム構造の振動特性を計測し、これを用いて有限要素法(FEM)による構造数学モデルの剛性や損失係数等のパラメタを同定した。モード解析結果からハーネスの他にハーネスの締結に使用する結束バンドも減衰に寄与していることが明らかとなった。さらに、無限長の周期構造と仮定した波動有限要素法(Wave FEM)による波動伝搬解析からも同様な結果が得られたことで、構造の一部分から全体構造の振動特性が推定できることが明らかとなった。この成果の一部をまとめ、国内学会で発表した。なお、カーボンナノチューブ(CNT)短繊維を撚糸化した布の粘着力(分子間力)をダンパ要素に適用する試行にあたっては、実施したCNTサンプルの荷重試験等の結果から振動減衰を期待する程度の粘性力はほとんど計測されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1. 構造特性のばらつきを考慮した電源ハーネスのモデル化と構造・電気性能同時最適化 2. 超低剛性ハーネス(電源ハーネスのゼロ曲げ剛性化) 3. 電源ハーネスのダンパ化 上記の研究項目のうち項目2と項目3は順調に進展し、成果発表もできているが、これらを優先したため項目1はまだ調査レベルに留まっている。
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今後の研究の推進方策 |
1. 構造特性のばらつきを考慮した電源ハーネスのモデル化と構造・電気性能同時最適化 2. 超低剛性ハーネス(電源ハーネスのゼロ曲げ剛性化) 3. 電源ハーネスのダンパ化 上記の研究項目の項目3に関して、カーボンナノチューブ(CNT)短繊維を撚糸化した布を構造減衰の促進に利用する方法については、令和4年度で実施したモデル化検討の結果からハーネスの締結部(結束バンド)において粘性力でなく摩擦力として利用することでエネルギー散逸を増加できると考えている。また、ハーネス本来の設計条件である電気的な観点をモデル化に取り込むことは項目1の調査結果から可能と考えられるので、項目1が目標とする電源ハーネスの構造・電気性能同時最適化も可能と考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
カーボンナノチューブ(CNT)短繊維を撚糸化した布を調達する予定であったが、メーカから試供品として無償提供されたサンプル片を用いて荷重試験等を実施したところ振動減衰を期待する程度の性能が確認されなかった。そこで、当該年度中の布の調達を一旦見送り、評価方法の改良やダンパ要素としての実装方法を再検討し、次年度に改めて調達することとした。
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