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2022 年度 実施状況報告書

水面歩行生物の渦推進メカニズムに関する実験研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K04257
研究機関山形大学

研究代表者

李鹿 輝  山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (00253906)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードアメンボ / 推進メカニズム / 渦 / 水面歩行 / 運動エネルギー / PIV
研究実績の概要

本研究では, アメンボの推進, 着水, 及び連続推進によって水面の流れを撮影し, PIV解析を行った. 推進及び着水の際に渦が発生する原因は, アメンボの脚で水面に力がはたらいたとき, 水の粘性により, 水面が変形することで流体内に流れが生じたためであることがわかった. また, 推進時に発生する渦は, アメンボに推進力を提供していて, 着水時に発生する渦は, アメンボにブレーキがかかる力を提供していることがわかった. 連続推進と, 推進及び着水を比較すると, 推進のみでは前脚による渦が発生して, 着水のみでは後ろ脚による渦が発生していたが, 連続推進ではそれらの渦が発生しなかった. これは, 着水時に前脚と後ろ脚は水面を変形させるほどの力を加えず, 水面を滑るように進むため, 前脚と後ろ脚による渦が発生しなかったということがわかった.
アメンボの運動エネルギーに関しては, 連続推進では, 推進を開始し始めてから運動エネルギーは一度減少してから増加しているが, これは, 減少している間のアメンボの中脚の運動による水面にかかる力が推進力を妨げていることがわかった. また, 運動エネルギーが最大になってから減少し続けている原因は,アメンボの中脚が離水したことで, 中脚の運動による水面からの反力が得られなくなったためであり, アメンボはこの反力を最大限利用して推進していることがわかった. 連続推進と推進のみを比較すると, 連続推進は, 初めの推進による運動エネルギーを活かすことで, 推進のみより中脚による水面にかかる力が小さいのにもかかわらず, その後の最大の運動エネルギーは推進のみより大きくなっていることがわかった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

新型コロナウイルスの流行により、中国上海工程技術大学で行う予定の三次元トモグラフィックPIV実験が延期となった。したがって、本基金助成金は一年に延長した。

今後の研究の推進方策

(1)4台ハイスピードビデオカメラを用いた三次元TomographicPIVにより、大中小三種類アメンボの脚は生み出す三次元流れ場を計測し、様々な三次元渦の運動を抽出する。
(2) 三次元Tomographic PIV計測などの結果に基づいて、大中小三種類のアメンボの動きと生み出す三次元渦構造との関係を定量的に明らかにする。
(3) 三次元Tomographic PIV計測などの結果に基づいて、アメンボの推進力と推進効率を定量的に解明する。
(4)本研究で得た渦推進原理により、水面連続歩行の能力を備えた高効率の小型ロボットのダイナミクス構造を検討する。

次年度使用額が生じた理由

当該年度にも新型コロナウイルスの流行により、中国上海工程技術大学で行う予定の三次元トモグラフィックPIV実験を中止となったため,国際旅費と実験関連品物の購入費を使用してなかった。
次年度、中国上海工程技術大学で実験を行うため、その国際旅費と実験関連品物の購入費を計画している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件)

  • [雑誌論文] Particle image velocimetry measurements of the flow structures induced by the free-falling spin flight of maple seeds2023

    • 著者名/発表者名
      Dong Lin、Wen Guoan、Rinoshika Akira
    • 雑誌名

      Transactions of the Institute of Measurement and Control

      巻: 45 ページ: 700~710

    • DOI

      10.1177/01423312221122609

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Effect of a front inclined hole on multiscale vortical structures around a wall-mounted cube2022

    • 著者名/発表者名
      Li Jiawei、Rinoshika Hiroka、Han Xiaolei、Rinoshika Akira
    • 雑誌名

      Physics of Fluids

      巻: 34 ページ: 075106~075106

    • DOI

      10.1063/5.0093240

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Flow control of wake around a wall-mounted cube using a horizontal hole of different diameters2022

    • 著者名/発表者名
      Li Jiawei、Han Xiaolei、Rinoshika Hiroka、Li Wenming、Rinoshika Akira
    • 雑誌名

      Physics of Fluids

      巻: 34 ページ: 035127~035127

    • DOI

      10.1063/5.0082878

    • 査読あり / 国際共著

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公開日: 2023-12-25  

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