流れの中の物体の表面には境界層と呼ばれる薄いせん断層が発達し,下流にいくと乱流へと遷移する.遷移すると壁面での摩擦が大きくなるため,遷移を遅らせれば旅客機などの輸送機器の抵抗軽減につながる.物体周りの流れの乱れ(主流乱れ)が翼などの前縁から境界層に入る受容過程は解析が困難な非線形現象であるため,本研究では乱流研究で成功している線形応答抽出法を受容過程の解明に試みた.実験では主流乱れに人工撹乱を重畳させ境界層内の速度を位相平均して周期成分を求めた.その結果,周期成分が撹乱の強さに対し線形応答しており,線形応答抽出法が受容性の研究において強力なツールとして使えることが明らかとなった.
|