研究課題/領域番号 |
20K04264
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
伊藤 靖仁 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (40346078)
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研究分担者 |
酒井 康彦 公益財団法人名古屋産業科学研究所, 研究部, 上席研究員 (20162274)
岩野 耕治 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (20750285)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 矩形噴流 / 数値シミュレーション / 強化学習 |
研究実績の概要 |
噴流は様々な流体機器内で見られる現象であり,その制御は重要である.しかしながら噴流の混合拡散手法についてはその促進に関する研究が主であり,抑制についてはこれまであまり研究されてこなかった.そこで本研究では,特に噴流の拡散混合現象の基礎的理解とともに,特に縦渦に焦点を当ててその制御(特に抑制)手法の開発と最適化を目的とした数値シミュレーション研究を行う.特に最適化については,深層強化学習および機械学習を利用する.2021年度の主な実績は下記の通りである. (A)OpenFOAMによる矩形噴流シミュレーションプログラムの構築:信頼できるシミュレーション実施のため,計算メッシュ,各種境界条件の決定,および適切な乱流モデルの選定を行った.様々な条件を試した結果,出口径が10mm程度の場合には,計算メッシュの空間解像度は主流方向に2mm,鉛直およびスパン方向に1㎜,乱流モデルはk-equationモデルかDynamic SGSモデルが信頼性が高いことが明らかになった.また境界条件としては,計算領域を十分広く取ったうえで,速度が全境界面でノイマン条件,圧力は出口でノイマン条件,側壁で一定値とするのが最も良い結果が得られることを明らかにした. (B)強化学習環境の構築と模擬シミュレーション: 強化学習およびシミュレーションのコントロールをPython,流体シミュレーションをOpenFOAMで実施する環境を構築した.初期噴流流入量一定の条件の下で二次元噴流の初期流入流速分布を任意の4次関数として与え,そのパラメータの最適値をQ学習により同定することが可能となった.すなわち強化学習のプログラムコードの開発を完了できたと言える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り強化学習を含めた数値シミュレーションプログラムの構築および対象とする噴流の基礎的データの取得を終えた.実験は2021年度内に始めたかったが,留学生が来日できなかったことと半導体不足により開始が2022年にずれ込んでしまったが,6月には開始できる予定であり,大きな問題ではないと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き数値シミュレーション研究を実施しつつ,数値シミュレーションで得られた結果を踏まえつつ実験研究を行う予定である.特に噴流生成には3Dプリンタなどを活用して複雑でも理想的な噴流出口部を作成し,拡散混合抑制効果が高いものを見出したいと考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
半導体不足による実験装置の納入の遅れやコロナで学生(留学生)が来日できないなどの理由で,実験装置の購入が遅れた.しかし2022年4月には購入済みであり,研究は予定通り遂行できる.
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