研究課題/領域番号 |
20K04272
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
宮里 義昭 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (30253537)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | レインボーシュリーレン / 衝撃波 / 密度測定 / 超音速流れ / マイクロジェット / 光学的可視化計測 |
研究実績の概要 |
近年、超音速マイクロジェットは,航空宇宙分野のみならず微小電子機器や医療分野での利用も期待されており、多くの研究が行われている。一般に、ノズル出口から音速を超える流れが流出する場合には、流れ場の内部に衝撃波と呼ばれる不連続波が現れ、衝撃波と超音速ジェットを取り囲む自由せん断層との干渉の結果、流れ場は非常に複雑となる。さらに、超音速マイクロジェットでは、ノズル内部に発達する境界層がジェットの構造に強く影響を及ぼすことが予想できるが、それについてはほとんどわかっていない。特に、ノズル出口断面が軸対称以外の超音速マイクロジェットの構造を実験で定量的に詳細に明らかにした研究はこれまで全くない。 本研究では,出口断面が1mm×1mmの正方形の先細ノズルから流出する弱い衝撃波を伴うマイクロジェットの3次元構造を定量的に明らかにした.流れ場の計測は,レインボーシュリーレン偏向法により行い,畳込み逆投影法によるコンピュータートモグラフィの原理を利用してマイクロジェットの3次元密度場を調べた.また,実験と同じ条件の基でSSTk-w乱流モデルを用いたRANSシミュレーションによってマイクロジェットの流れ場を解き,実験との相互比較を行った.さらに,実験と同じ条件の基でマイクロジェットの構造に関する理論解析を行い,実験および数値シミュレーション結果を相互比較を行った.その結果,矩形ノズルからの亜音速噴流でときどき観察されるアクシススイッチング現象と似た現象が衝撃波を伴うマイクロジェットでも観察できることがわかった.しかし,アクシススイッチング現象の原因は,ジェットの混合層に形成される渦によるものではなく,ノズル出口から発生する膨張波が噴流境界で反射されることにより形成されることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,正方形断面をもつ先細ノズルから流出する弱い衝撃波を伴うマイクロジェットの3次元構造を実験と数値計算および理論解析によって明らかにすることができた.
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は理論解析と実験及び数値計算との相互比較も行うため,ノズル圧力比を3とし,主に弱い衝撃波を伴うマイクロジェットの構造を調べた.令和3年度は,圧力比を4以上にして,マッハ衝撃波等の強い衝撃波を伴うマイクロジェットの3次元構造を実験と数値計算によって明らかにする予定である.また,ノズル出口断面を長方形にしたマイクロノズルを設計製作し,長方形マイクロジェットの構造を調べる予定である.なお,研究の進捗状況によっては,マイクロジェットの3次元非定常計算も行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度は新型コロナウィルスの蔓延のため,実験装置の製作費および学会参加等の活動がほぼできなかった.そのため,数値シミュレーションと理論解析を主として研究を進めたために当初予定の予算を使うことができなかった.令和3年度は,実験計画を前倒しして,研究を進める予定である.
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