本研究においては、これまでに気体および誘電性液体に不平等電界を形成したイオン流場の電気流体力学(EHD)現象について実験的な研究を行ってきた。具体的には、気体相と誘電液体相の界面において、気相で微弱放電を発生させると同時に液体が流動する一つの気液2相流体のEHD現象を対象としている。 本研究の目的は、これまでの研究成果から弱電離プラズマを気液2相流体に適用し、気液2相流の定量評価を具体化すること、さらに、このEHD現象の応用面を開拓することである。このため、本研究では工学的に重要な非定常流れ場の計測を含めて定量的に解析を行いたいので、弱電離プラズマを含む気液2相流の可視化計測と定量解析の実施を計画した。 令和4年度(2022年度)は「応用装置の開発に着手」を実施することを主な研究計画とした。本研究では、気液界面を含む気液2相流体の電気流体力学効果を応用して液体を汲み上げるAir Wave Type Electrohydrodynamical Pumpを考案した。具体的には,実証試験用のAir Wave Type EHD Pumpを製作して、そのポンピング性能に対する気液2相流体の電気流体力学効果の定量的な解析と実証試験を実施し、定量解析による性能評価を行った。このポンプは気相のコロナ放電によりGas-Phase EHD Flow を発生させ、それによりLiquid-Phase EHD Flowを誘起して、液体を重力に逆らって液体溜めから外部へ汲出できるものとしての知見を得た。 本研究では,研究期間全体を通じて流体力学的および電磁的なエネルギー交換の定量評価を実施した。EHD 現象の解析的取り扱いについては、一般に流体内部の誘電的性質と電気伝導特性の単独作用あるいは複合作用として解析した。
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