研究課題/領域番号 |
20K04276
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研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
研究代表者 |
多田 茂 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 応用科学群, 教授 (70251650)
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研究分担者 |
松元 藤彦 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 応用科学群, 教授 (10531767)
江口 正徳 呉工業高等専門学校, 電気情報工学分野, 准教授 (60613594)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 誘電泳動 / 4重極電極 / 細胞分離 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、多量の細胞試料の高速・高精度な分離を可能にする方法として、4重極電極とガラス細管(キャピラリー)を用いたキャピラリー型誘電泳動(DEP)細胞分離技術を提案し、この技術を用いたデバイスを製作して細胞分離の実験と解析を行い、その機能を最適化させることにより将来の臨床応用を目指した新しい細胞分離デバイスの基本デザインを提示する。 デバイスの仕様を決定するにあたり、細胞分離に最適な電場分布を得られる4重極電極ロッド径と、ガラスキャピラリー内径、外径の比を電場の数値シミュレーションにより決定した。数値シミュレーションで決定した上記のデバイスパラメーターの値をもとに、細胞操作に必要な大きさのDEP力が得られる印加電圧値を推算し、デバイス主要部の寸法を決定して実験装置全体の設計・製作を行った。 細胞分離の実験は、ヒト乳腺上皮細胞癌細胞の生死細胞を用いて行った。まず、生細胞を300mMマンニトール非電解質等張溶液に懸濁させたサンプルを用いて、交流周波数と細胞回収率との関係を調べた。周波数と溶液導電率の違いにより、細胞がキャピラリー内・外周部に集められ、デバイスが期待通りの動作を行うことが確認された。また、生・死細胞の分離については、周波数3kHz、溶液導電率100mS/mで最大効率が得られることが予想されたため、周波数3kHz、溶液導電率100mS/mで、生・死細胞をマンニトール溶液に懸濁させたサンプルを用いて実験を行った。得られた生・死細胞の分離率は未だ低く、技術改善の余地があるものの、提案技術が、多量の細胞を非接触で分離可能な新しいDEP細胞分離技術として有効であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
デバイスの設計・製作を行い、細胞実験を行うことで高効率細胞分離に必要な実験条件などの絞り込みが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
デバイスの設計・製作を行い、細胞実験を行うことで提案デバイスの動作特性について明らかにすることが出来た。また、高効率細胞分離に必要な実験条件などの絞り込みが出来た。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加を予定していた国内学会・国際会議が、世界的に蔓延している新型コロナ感染症による影響により中止、若しくはオンライン会議に切り替えられたため、学会参加のために計上していた旅費・参加費の予算がほぼ全額次年度に繰り越しとなった。2021年度においても同様の傾向が続く可能性が高いが、現時点で参加を予定している国際会議では、通常スタイルの開催を予定しているものもあるため、これらについては旅費等を計上している。
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