研究課題
外乱条件によって周囲流れに双安定性を示す複数のブラフボディを対象に、流体力変化の統計的特性と発生機構、各種擾乱への依存性を系統的に調査し、双安定性の発現を抑制するための技術構築を目指して、以下の取り組みを行った。現象の発生機構解明のため、対象ブラフボディに作用する相対流向を動的に変化させ、安定状態間の遷移を誘起して、その遷移過程の詳細を調査した。回流水槽において、検力と同期した時系列ステレオPIV計測を行い、遷移過程のボディ後流の流速変化を計測した。得られた時系列流速場をPOD解析し、遷移直前に発達する流場変動を抽出した。風洞では、同一の風向条件で双安定な2つの後流形態を選択的に形成させるため、相対流向を計測直前に変化させ、各々の速度分布を個別計測した。数値解析では、解析結果に渦構造抽出技術を適用し、双安定状態を構成する2つの後流形態の特徴と差異を明らかにした。また、より現実的な流向変化を与える数値解析も行い、遷移過程の詳細を明らかにした。現象の統計的特性と各種擾乱への依存性については、風洞と回流水槽による相似な実験計測を行い、レイノルズ数依存性に加えて、流路上流条件の差異によっても、流体力の急変の発生の有無やその頻度が変化することを示した。また、双安定状態間の流れの遷移に伴い確率的に発現する空力特性の取扱いに関して、ブラフボディを自動車に見立てた簡易な運動力学モデルに計測流体力を入力する運動解析を実施し、確率的に有意な時系列変動を示す入力の取扱い手法を検討した。双安定性の発現抑制手法として、定常噴流または微小な突起を用いた流れ制御法を採用し、数値解析と風洞実験計測により有効性を示した。自動車空力研究用の一般車両モデルを対象とした検討では、車体形状を左右非対称に変形させて準定常風向変化時の空力の急変を抑制する形状変化を検討し、双安定状態を生じにくい形状の提案を試みた。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
Structural and Multidisciplinary Optimization
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