励起光の強度をkHzオーダーの正弦波に変調させて発光強度の位相や振幅比を得るFLIM(fluorescence lifetime imaging)法では,独立した複数の発光パラメーターを得ることに着目し,別センサで計測した温度データを用いた補正することなく,圧力と温度を同時に計測する手法 (FLIM-PTSP法) の開発を行った。撮影には励起光変調と同期可能で多重露光可能なFLIM専用のpco.flimカメラ(PCO製)ではなく,高速度カメラ (CMOSカメラ) を用い,その露光タイミングを信号発生器によって制御することにより,半周期幅の4つの露光ゲートに分けて正弦波状の発光強度の変化を撮影し,圧力と温度を原理的にも物理的にも同時計測可能なシステムを構築して圧力・温度の同時計測法の高精度化を実現した。 4つの異なる位相のカメラ画像取得にあたり、4つの露光ゲートの撮影順序を変更することにより,時間分解能の向上,照射時間・計測時間の短縮を図ることもでき,壁面への衝突噴流による検証実験により,その有効性を示した. また,発光塗料を用いたプロペラ表面の圧力分布計測には発光塗料の塗布ムラが計測精度に大きく影響することから,塗布膜の厚さや塗布膜の再現性のため,3D自動塗布装置により、三次元的に凹凸があり薄い形状のプロペラ表面への塗布方法を確立した。この手法によって塗布したプロペラ表面の圧力感度の一様性や再現性は経験の浅い人間によるハンドスプレーの場合に比べて著しく高くなり,実用性の高い塗布技術を示すことができた。この装置により塗布したプロペラでの表面圧力の計測にも成功した。
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