研究課題/領域番号 |
20K04299
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
千坂 光陽 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (20513310)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 酸素還元反応 / 酸窒化物 / 窒化チタン / ルチル / カソード |
研究実績の概要 |
2021年度は、酸化チタン系触媒の性能と反応選択性を向上させる新しい方法として、そのチタンサイトにジルコニウムを置換導入することを初めて見出した。ジルコニウムの置換導入量を性能に対して最適化し、チタンの2割が最適値であることを明らかにした。本最適組成では導電性窒化物である窒化チタンとその表面に形成された酸化チタン双方にジルコニウムが固溶した。表面では置換導入されたジルコニウムが酸化チタン相を歪ませて反応サイト形成に必要不可欠な酸素欠損量が増加した。一部は分離して酸化ジルコニウム相が発現し、これが窒化チタンの結晶子径を抑えた。酸化ジルコニウムの結晶構造は単斜晶と正方晶の混相であり、最適値以上のジルコニウムを導入すると、正方晶酸化ジルコニウムが主相となり導電率を下げて性能と反応選択性がともに低下することがわかった。 最適組成のTi0.8Zr0.2OxNy触媒に対し、燃料電池実用化推進協議会が定めるプロトコルを用いて加速劣化試験を実施した。燃料電池自動車における起動・停止を模擬した試験を5000回実施した後の半波電位は僅か0.04 V低下し、これまで最高の耐久性を示したリンと窒素を共置換した酸化チタン触媒の半値に抑えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度も新型ウイルスの感染拡大により、学内外で実験をできない期間があり十分に計画を進めることができなかった。 一方当初計画に無い異種金属置換により、本触媒が高性能化・高耐久化することを見出した。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画よりも開始材料の数が増加し、より均一に開始材料を混合する必要がある。 そのため2022年度は開始材料を混合する装置の購入に残予算を充てる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型ウイルスの感染拡大により、学内外で実験できない期間が生じたため。 2022年度は、開始材料を混合する装置の購入に予算を充てる。
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