液体・ソフトマターの熱伝導率は、熱交換器や冷凍機など熱機器の性能を決定するだけでなく、最近では固体部材の接合界面に適用して熱的コンタクトを向上させる熱界面材料においても重要である。今後は、高圧・高温など実測が困難な条件における熱伝導率の予測や、所望の特性をもつ熱媒の設計などが重要となる。精緻な物理理論が確立されている固体や気体とは異なり、液体の熱物性を記述する理論は存在しない。本研究は、液体・ソフトマターの熱伝導率を支配する分子内・分子間のエネルギー伝搬を詳細に調べてその構成原子団の特性を明らかにするもので、分子熱工学の手法による熱物性研究の先駆けを成すものである。
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