研究課題/領域番号 |
20K04302
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小倉 裕直 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (40253554)
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研究分担者 |
廣瀬 裕二 千葉大学, 大学院工学研究院, 助教 (60400991)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 未利用熱駆動ケミカルヒートポンプ / 蒸発溶液 / 凝固温度降下 / 熱媒体 / 潜熱輸送 / 圧力損失 / 熱流体解析 |
研究実績の概要 |
資源・エネルギー問題ならびに環境問題の観点から、化石燃料や電力等のエネルギーをほとんど用いない各種未利用熱駆動ケミカルヒートポンプを年中駆動可能にして普及実用化を目指すため、1.反応溶液の蒸発/凝縮速度や蒸発/凝縮平衡圧力特性が化学蓄・放熱速度にうまく適合していないことや、2.装置内外での熱交換媒体循環時のエネルギーロス等、反応材に比べて後回しにされてきた溶液に着目した性能向上を検討した。研究2年目の令和3年度は、以下の研究を行った。 1.蒸発/凝縮溶液の課題に対しては、より多くの種類の材料や運転条件を検討する予定であったがCOVID-19の影響等で困難になったため、予定を変更してこの分を2.熱交換媒体溶液の課題に対して、実験的検討のみの予定を熱流体解析による理論的検討を行った。 2.熱交換媒体溶液の課題に対しては、広い温度・流速範囲で流動・伝熱コントロール可能な新規分散系熱交換媒を開発し、ケミカルヒートポンプ装置に適用する。本研究2年目の令和3年度は、100℃以上で使用できる熱交換媒体として融解潜熱が大きく、融点も高い蓄熱材であるエリスリトールをシリコンオイルに加えたものの熱輸送媒体による熱輸送量向上の検討を実験および数値解析により行った結果,以下のことがわかった。 ・オイルにオレイルアルコールを添加すると圧力損失が低くなった。これは界面活性剤の整流効果により渦の発生を抑制したためと推測される。・エリスリトールの含率を20 wt%まで上げると圧力損失は大きく増加し配管内で詰まるおそれが大きくなる。・エリスリトール含率10 wt%までは管路にシリコンオイルにエリスリトールを加えることにより管路に通しても圧力損失や放熱ロスは大きく変化せず,輸送可能エネルギー量を条件により3倍程度まで増やすことができ,100℃以上で流動する高効率熱媒体としての応用が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.蒸発/凝縮溶液の課題に対しては、より多くの種類の材料や運転条件を検討する予定であったが本研究2年度目の令和3年度はCOVID-19の影響等で困難になったため、予定を変更してこの分を2.熱交換媒体溶液の課題に対して、実験的検討のみの予定を熱流体解析による理論的検討を行った。令和4年度に蒸発/凝縮実験を再始動して-50℃レベルまでの蒸発を検討する予定である。 2.熱交換媒体溶液の課題に対しては、広い温度・流速範囲で流動・伝熱コントロール可能な新規分散系熱交換媒を開発し、ケミカルヒートポンプ装置に適用する。本研究2年目の令和3年度は、100℃以上で使用できる熱交換媒体として融解潜熱が大きく、融点も高い蓄熱材であるエリスリトールをシリコンオイルに加えたものの熱輸送媒体による熱輸送量向上の検討を、当初予定の実験による検討に加えて、新たに熱流体解析による検討を行うことができ、当初の計画以上に進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
1.蒸発/凝縮溶液の課題に対しては、さらに低温低圧で作動する気液相変化媒体を得るために、魚などに含まれる「不凍タンパク質」を加えることにより、さらに凝固点の低下を図った新規作動媒体の開発を、研究分担者と進める。不凍タンパク質は水の結晶生成を抑制する作用があるとされ、蒸気圧を維持したまま凝固点を下げることが期待される。 研究代表者、研究分担者の具体的な役割としては、研究分担者が各種反応溶液の調整検討を行い、研究代表者はそれらをケミカルヒートポンプ作動媒体としての性能評価を行うために蒸発平衡論的検討のみならず冷熱生成能力に重要な蒸発速度論的検討を行う。 2.熱交換媒体溶液の課題に対しては、広い温度・流速範囲で流動・伝熱コントロール可能な新規分散系熱交換媒を開発し、実際にケミカルヒートポンプ装置に適用して検討する。さらに、本年度の数値解析において各種流動抵抗の要因が示唆されたため、数値解析においても熱輸送媒体による熱輸送量向上の検討を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
1.蒸発/凝縮溶液の課題に対しては、より多くの種類の材料や運転条件を検討する予定であったが本研究2年度目の令和3年度はCOVID-19の影響等で困難になったため、予定を変更してこの分を2.熱交換媒体溶液の課題に対して、実験的検討のみの予定を熱流体解析による理論的検討を行った。令和4年度に蒸発/凝縮実験を再始動して-50℃レベルまでの蒸発を検討する予定である。。
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