研究課題
基盤研究(C)
量子ナノデバイスの動作性能の向上を目指し、局在光子場による単一フォノン操作にもとづく極限的熱散逸制御の理論的提案を目指し研究を行った。その結果、(1)局在光子場を介したナノ構造間における相互作用の起源の解明、(2)ナノプローブによる局在光子場の制御手法の提案、(3)ナノスケールの熱概念を記述するための理論構築、(4)局在光子場を介した励起移動にともなう単一フォノン状態変化の解明に成功し、学術的に重要な成果を上げるとともに、単一フォノン操作による熱散逸制御の実現へ向けた知見を得ることができた。
光物性理論
量子ナノ系に対してマクロな系での熱力学的概念をそのまま適用できるかは未解明であるが、量子ナノ系がやり取りする熱の最小単位と考えられる単一フォノン状態について深く研究した本研究の成果は、ナノスケールの量子熱力学という新規学術分野の開拓へつながる意義を持っている。また、その成果を応用することで、単一フォノン操作にもとづく熱に対する量子ナノ工学の創成へつながるものと期待されるが、近年、デバイスの省エネルギー化や高効率化は重要な課題のひとつであり、エネルギー問題への貢献という社会的意義も持つ。