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2021 年度 実施状況報告書

隣接多点薄膜温度センサによる局所熱伝達と壁面近傍移流速度の計測

研究課題

研究課題/領域番号 20K04316
研究機関明治大学

研究代表者

中別府 修  明治大学, 理工学部, 専任教授 (50227873)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード熱流束 / MEMS / 移流 / 相関解析 / 非定常熱伝達
研究実績の概要

本研究では,乱れを伴う流動伝熱場における壁面の瞬時局所熱流束を多点薄膜センサで計測し, 壁面近傍の移流速度を熱流束信号から抽出する技術を開発するとともに,抽出された移流速度の物理的意味と熱伝達の関係を明らかにすることを目的としている。
前年度には,直径480μmの円形RTD4個を約1mm四方に収めた近接多点センサをシリコン基板上に製作し,ノズルから個別に噴出される渦輪が壁面に衝突する場,乱れを含む流れが壁面に沿って流れる場での計測から,4つのセンサの熱流束信号の遅れを利用し,流動変動の移流を算出できること,境界層流れでは壁面から約2mmの高さの速度のレベルと一致することを確認した。
今年度は,1.5mm四方の正方形の頂点と中心に直径300μmmのRTDを配した隣接5点熱流束センサをアルミ合金基板上に製作し,センサ基板を加熱した状態で突起付き円筒をセンサ上で回転させ,周期的な流動変動をセンサ近傍に与え,流れと熱流束の関係を調べた。円筒面とセンサ面の距離が2~6mmの範囲で,円筒面の移動速度の約30%の移流速度が計測され,突起の通過に伴いセンサ上で渦が作られ,渦が円筒面の1/2程度の速度で移動し,温度境界層を一時的に薄くする効果が計測される熱流束信号に強く影響するものと観察された。
研究成果は日本機械学会熱工学部門主催の熱工学コンファレンス2021にて発表(「渦輪衝突時の壁面近傍流動 と瞬時熱流束の関係」山口・中別府)し,非定常熱伝達における瞬時流動と瞬時熱流束の関係として議論を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナ禍の影響で学外設備のクリーンルームでのMEMSセンサの製作作業が遅れ,隣接多点センサのバリエーションを増やすことが当初予定よりも遅れた。しかし,研究室内で製作した隣接多点センサでの研究で非定常熱伝達のデータを取得できること,流動データと熱流束の関係が明確となって生きているので,今後,研究目的の達成を目指して研究を進められるものと考えている。

今後の研究の推進方策

多点薄膜熱流束センサで乱れを伴う流動伝熱場の熱伝達と近傍の移流情報を調べる技術の開発研究として,4点センサ,5点センサでの検討を実施してきたが,さらに移流推定で導出する速度に冗長性を持たせるために,正6角形の頂点と中心に配置する7点センサにより移流推定情報の信頼性向上を実施する。
また,これまで主に既知の流動場に対するセンサの応答を調べてきたが,壁面熱流束変動には温度場の変動も大きく寄与するはずであり,既知の温度場を持つ流動に対する壁面熱伝達を調べ,温度場の寄与を明確にする。
さらに,壁面熱流束計測から得られる熱伝達率と移流速度推定から得られる速度からヌッセルト数とレイノルズ数の関係を求め,既存の理論との比較を行い,提案手法の有用性を検討する。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍において,学外設備のクリーンルームでのMEMSセンサ製作に制限が発生し,センサ製作に遅れが生じていた。また,研究室での研究活動も抑制されていたため,研究進捗が予定よりも進まず,経費の支出が少なかった。また,国内,国際会議での発表がオンラインとなり旅費も発生しなかった。
ようやくコロナ禍の影響が低減していく見込みとなってきたため,未使用の予算と合わせ,流動・伝熱計測を実施する機器の導入を行い,予算を有効利用し研究を実施する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 渦輪衝突時の壁面近傍流速と瞬時熱流束の関係2021

    • 著者名/発表者名
      山口泰尚,中別府修
    • 学会等名
      日本機械学会熱工学コンファレンス2021

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公開日: 2022-12-28  

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