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2022 年度 実施状況報告書

高温反応場における芳香族分子成長メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K04318
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

松木 亮  国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (90634668)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード高温化学反応 / 衝撃波管 / 過渡吸収分光法 / 芳香族化合物 / 単分子反応論
研究実績の概要

高温環境における炭化水素分子の成長メカニズムを解明するために、分子成長に寄与する化学反応機構の研究を実施した。令和4年度は、高繰り返し衝撃波管を用いた紫外過渡吸収分光法により、フェニルラジカルとオルトベンザインの反応挙動を解析した。フェニルラジカルの前駆体としてヨードベンゼンおよびニトロソベンゼンを用い、衝撃波加熱によりこれら前駆体を分解させることでフェニルラジカルを生成し、フェニルラジカルの熱分解によりオルトベンザインを生成させた。波長200-300nmにおいて取得した過渡吸収スペクトルには複数成分の寄与が含まれていたが、波長250nm付近に特徴的な過渡吸収挙動が観測された。過渡挙動および吸収波長から、これをオルトベンザインによるものと同定し、その吸収量の時間変化からオルトベンザインの熱分解速度定数を求めた。速度定数の導出には、詳細反応モデルを用いて副反応の寄与を含む解析を行った。オルトベンザインが関与する反応は芳香族の分子成長に寄与することが提案されており、本研究でその吸収を同定したことは、今後の反応研究の基礎となるものである。
理論化学的手法による反応解析については、共鳴安定化ラジカルの反応による芳香族の成長過程に注目し、量子化学計算と速度論解析を行った。主にプロパルギルラジカル、インデニルラジカル、フルベナレニルラジカル、およびシクロペンタジエニルラジカルが関与する反応を計算し、3環の化合物が生成する新たな反応経路を見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

前年度の遅れが継続している。また、蒸気圧の低い試料を使用することができるよう、高繰り返し衝撃波管装置に加熱機構を実装することを試みたが、実験条件の再現性に予期せぬ問題が現れたため、装置の改良が未達である。

今後の研究の推進方策

引き続き高温反応の過渡吸収分光実験を実施する。低蒸気圧の試料を導入するための装置改良が達成できていないため、低蒸気圧試料を対象とした実験は中止し、既存実験データの解析と不足データの取得に注力する。理論計算においては、見出した新規反応経路の速度論解析を行い、複雑な反応経路の速度定数を求めるためのマスター方程式解析を行い、燃焼の反応モデルに実装できる形での速度論データセットを構築する。

次年度使用額が生じた理由

前年度からの実験の遅れと、装置改良における問題の出現により、次年度使用額が生じた。次年度使用額は主に装置の光学系等の更新と実験試料に充てる予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Potential Nonstatistical Effects on the Unimolecular Decomposition of H2O22022

    • 著者名/発表者名
      Akira Matsugi
    • 雑誌名

      J. Phys. Chem. A

      巻: 126 ページ: 4482-4496

    • DOI

      10.1021/acs.jpca.2c03501

    • 査読あり
  • [学会発表] フェニルラジカルとオルトベンザインの熱分解反応2022

    • 著者名/発表者名
      松木 亮
    • 学会等名
      第60回燃焼シンポジウム

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公開日: 2023-12-25  

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