研究実績の概要 |
申請者のこれまでの研究成果からガスタービン翼後縁部カットバック面でのフィルム冷却流の脈動化は大規模渦放出周波数の非整数倍周波数の場合にフィルム冷却効率を向上させ,フィルム冷却総合性能(正味熱流束低減率)を向上させる.一方,脈動化によるディンプル付きカットバック面の熱伝達率は定常冷却流とほぼ同一となり,十分な熱伝達促進が得られていない.そこで本研究では,ディンプル面のチャネル脈動流における最適化(脈動条件,形状)を実施し,その最適化結果をフィルム流へ適用することで正味熱流束低減率のさらなる向上を達成することを目的とする. 流路形状は実験と計算で同一である.ディンプル面形状は,面回転(0~60度)で傾斜させ,in-lineとstaggered配列について調べた.非定常レイノルズ平均モデルとLarge Eddy Simulationによる片側ディンプル面チャネル流完全発達域での計算をディンプル直径定義のストローハル数St=0-1.33,流速rms片振幅0-14%で行った.脈動化による熱伝達率の増加は30-60度のin-line配列で特に高く,St=0.3までは増加し,St≧0.6では低下または飽和した.チャネル流の伝熱実験結果は,計算と同一の傾向を示した.フィルム流の伝熱実験では渦放出周波数のストローハル数で規格化したSt比0-1.0で計測を行い,30度in-line配列のSt比0.3, 流速振幅10%では熱伝達率が9%上昇,正味熱流束低減率も6%上昇した.ステレオPTV(Particle Tracking Velocimetry)と2成分PIV(Particle Image Velocimetry) 計測では,3成分分解(時間平均,周期成分,ランダム成分)を用いて脈動化の影響を調査した.
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